研究課題/領域番号 |
19K12177
|
研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
冨沢 哲雄 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 講師 (60549707)
|
研究分担者 |
岩切 宗利 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 准教授 (00535362)
三村 守 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 准教授 (60815017)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | センサセキュリティ / LiDAR / 時系列画像 / レジストレーション / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本研究は、近年ロボットシステムで広く採用されているレーザースキャナやカメラ等の外界センサを対象とし、センサのハードウェアを改変することなくセンサ計測部の汚損の有無を検知する手法を明らかにすることを目標とする。平成31年度(令和元年度)は、計画に従って以下の内容を実施した。 (1)汚損したセンサによる計測データ収集 汚損状態と正常状態とのデータにどのような相違があるかを調査するために、様々な条件下でデータ収集を行う必要がある。そこで、車輪型移動ロボットに各種センサを搭載し、計測データを収集することのできるプラットフォームを作成した。ベースとなる移動ロボットは、市販の電動車椅子を改良したものや、他の科研費のプロジェクトで独自開発したものを利用し、LiDARの投受光面の一部に不透明フィルムを貼りつけることで汚損状態を作り出し、センサデータ収集を行った。また、3次元測量装置に関するセンサセキュリティの実現のために今後有用と考えられる3次元点群レジストレーション手法や画像フィルタ、自己位置推定、環境地図作成、深層畳み込みニューラルネットワークに関する研究や文献を調査するために、複数の研究会に参加し情報収集を行った。 (2)汚損有無や種類/程度を検出する手法の開発と評価 LiDAR表面の一部に減光フィルムを貼り付けると、その部分で観測されたレーザー光は強度が減衰する。本研究では、センサ自身を超信地旋回させながら取得した計測データを時間軸に沿って画像化した時系列画像を生成し、その画像に対して統計処理を施すことにより光が減衰している箇所を探し出すという手法を提案し検証を行った。また、機械学習により汚染状態と正常状態を区別することを検討しており、そのために必要なクラス不均衡問題の対策手法を調査した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
屋内外の様々な環境で遠隔操作あるいは自律走行しながらセンサデータを収集するための移動ロボットプラットフォームを開発し、実際に茨城県つくば市の公道や本学の敷地内においてこのプラットフォームを使ったデータ収集を行うことができるようになった。 本研究では、センサ以上の検出手法として、統計的な手法と、機械学習を使った手法の2通りのアプローチをとることとした。前者は、時系列画像によりセンサ表面の汚損を検出する手法を提案し、その検証を行った。この成果は、計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会で発表を行い優秀講演賞を受賞している。この手法をより一般化するためのアルゴリズム改良を進めており、複数の拡張方法についての構想が概ね固まりつつある。後者は、正常なセンサデータと異常なセンサデータを機械学習により分類することを検討している。従来、機械学習で異常検知を行う際には、正常データと異常データとのサンプル数に不均衡がある場合には学習が困難とされているため、クラス不均衡問題の対策手法について調査を行い、国際会議で発表を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、当初の計画通り研究を進める。 まず、昨年度に提案した時系列画像を使ったセンサ表面の汚損を検出する方法をより一般化するために、アルゴリズムの改良、およびその改良手法の検証実験を行う。 具体的には、従来のアルゴリズムではセンサ汚損を検出するにはセンサ自身を超信地旋回させる必要があったが、点群のレジストレーションや自己位置推定の技術を応用することで、任意の運動をするセンサから取得したデータより、異常の有無や汚損の程度を判断できるようにする。 機械学習を用いたセンサ異常検出や、異常を検出した際に元のデータを推定する手法を検討する計画である。 改良されたアルゴリズムの有用性を評価するために、昨年度開発したプラットフォームを利用してデータ取得や実証試験を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
備品として電子計算機を購入予定であったが、大学の方針により2019年中は計算機の新規購入が全面的に差し止められていたため、やむを得ず2020年度に購入する。 また、資料収集のために参加を予定していた学会等が新型コロナウィルスの影響で中止あるいは延期となったため、次年度の出張旅費に充てる。
|