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2020 年度 実施状況報告書

風合い制御紡績システムの開発と評価

研究課題

研究課題/領域番号 19K12183
研究機関信州大学

研究代表者

河村 隆  信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (70242675)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード糸紡ぎ制御 / ガラ紡 / Garabo / 紡績機
研究実績の概要

本研究は明治初年日本で発明された紡績機ガラ紡を原型として,紡績ロボット(自動紡績機械)を開発し,手紡ぎの風合いを詳細に,かつ多様に表現する制御法を確立することを目的としている.
ガラ紡は張力を規範としたフィードバック制御を基本とし,材料塊に直接撚りかけ・引き出しを行って糸を作るユニークな紡績機で多品種少量生産,難紡性の原料の紡糸などに強みがある.
初年度はガラ紡による紡績について,紡績に関わるパラメータを変化させたときに,紡績糸の太さや撚り率などに与える影響を確認することを目標に実験を進めた.2年度はメカトロガラ紡機の改良を行い,綾振の機構を実装した.
このメカトロガラ紡機による紡績糸の特徴を明らかにするために,機械式ガラ紡の紡糸方法を模倣したヒステリシス制御をメカトロガラ紡に適用して機械式ガラ紡と同等の紡糸が可能であることを確認した,作成した制御プログラムを用いて,巻取り速度,設定紡糸張力が紡績糸の太さや撚り率に与える影響を実験により調査した.
その結果,巻取り速度の影響については速度を増加させると糸は細くなり,平均撚り率が増加することが明らかになった.従来のガラ紡研究では巻取り速度に関する調査は少ない.設定紡糸張力の影響については,張力を増加させると糸は太くなり,平均撚り率が低下することを確認した.これは従来の研究結果と一致する結果である.この実験の過程で,糸の性状をコントロールするためには,従来の設定紡糸張力を変化させる方式に加えて,リフト長より長い周期で設定紡糸張力を変化せることが有効であることが確認された.制御入力の張力目標値を周期的に変化させることで入力の周期に応じた紡績糸の太さ変化が認められた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

絹製品製造業者の要求仕様に応えられる紬糸の生産が可能な柔軟な紡績システムを構築することを目指している.これまでメカトロガラ紡の性能を確認することができ初年度の目標はほぼ達成したと考えているが,2年度は装置の改良を行うことができた.
現状では,(1)国内紬の産地に出向き,紬糸に対する品質や特徴に関する要求について聞き取り調査を行うことが未完了である.2年度は国内の移動がままならずペンディング状態である.
(2)ガラ紡紡糸をモデル化してモデル規範型の制御を実装することが未完了である.
今後,国内移動の制限が解消されることを見込んでおり,要求仕様の確定に向けて調査を実施する.メカトロガラ紡のモデル規範制御を実施するにあたっては,原材料に関する解析の部分に弱点があり,補強する必要がある.

今後の研究の推進方策

これまでの紡績実験により,風合いの重要なパラメータである紡績糸の太さについて長周期での入出力変化を確認できた.
今後メカトロガラ紡機による風合い制御に関して,制御入力の最適化に向けてガラ紡機および実験条件のメカニカルなパラメータの同定を行い,ドラフト速度,張力,ツイスト速度,リフト長(紡糸点と巻取りローラの距離)の調整などに加えて,繊維塊内圧力,繊維の配向度などについても検討して,これらのパラメータを内包するガラ紡による紡糸をモデル化して,モデル適応型制御を実装することにより,高度な制御を目指す.

次年度使用額が生じた理由

国内調査が未実施となってしまっていることにより,調査に関する費用を繰り越す必要があったこと,モデル規範型のメカトロガラ紡による紡糸を実現するための,モデル化について準備が整っておらず,メカニズム,制御システムの改良についてリアルタイム制御を含んだデバイス等の選定を延期したことによる物品費の未執行が生じている.
いずれも次年度に実施する予定であり,計画全体では若干の遅れがあることを認識しており,次年度にずれ込んでしまった事項については計画を修正して対応する.

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公開日: 2021-12-27  

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