研究課題/領域番号 |
19K12194
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研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
高橋 真 大谷大学, 社会学部, 准教授 (80508424)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 共感覚 / 比較認知 / キンギョ |
研究実績の概要 |
共感覚は知覚現象であり、必ずしも言語化によって明らかになるとは限らない。むしろ、課題遂行中の別の感覚モダリティの刺激の提示による妨害効果や促進効果が生じるかどうかを見ることで、明確になる場合が多い。本研究では、共感覚の進化的起源を明らかにするため、課題遂行中の刺激提示による成績変化の有無によって、言語を用いないヒト以外の種であるキンギョにおいても共感覚が生じるかどうかを調べる。 上記の目的のために、本研究ではキンギョに、特定の刺激に対しては右、別の刺激に対しては左を選択する条件性弁別課題を訓練する。学習が成立した後、ヒトの場合に共感覚が生じる刺激とそうではない刺激を提示した時、キンギョにおいても妨害、もしくは、促進効果が課題成績に生じるかどうかを調べる。また、同様の課題をヒトでも行い、比較する。 「明るい音、暗い音」といった音の高低と光の明るさの共感覚がキンギョに生じるかどうかを調べるため、2020年度段階で5個体の実験を開始し、3個体がテストまで終了していた。2021年度は、実験を終了していなかった2個体の訓練を継続するとともに、新たに4個体の実験を実施した。計6個体中、2個体は訓練を終了し、テストを実施した。なお、1個体は実験期間中に病気になったため、実験を停止した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は新たな個体を導入したが、導入過程でキンギョを飼育している水槽の水質が悪化したことから、これまで飼育していたキンギョにも新規個体の持っていた病気が感染することとなった。その結果、飼育環境を一から構築する必要があったため、研究の実施時期がずれ込んでしまっている。また、Covid-19の影響からヒトの実験実施に関しては慎重な判断が必要であったため、実施できていない。 しかしながら、飼育のためのノウハウが蓄積されたこと、実験のプロトコルが確定したことから、今後の研究によりある程度のリカバリーは可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、継続してキンギョの実験の訓練を行うとともに、さらに個体を追加して実験を行う予定である。ヒトの実験に関しては、Covid-19の感染状況を見ながら、実験参加者の安全が確保できる状態になったうえで、実施を行う予定である。ただし、感染者数の増加等で実験参加者の安全が確保できない場合は、2023年度まで実施を見合わすことも想定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、謝金の発生するヒトの実験が実施できなかったことと、キンギョの実験が終了していなかったことにより、学会等への参加を見送ったことの2点が大きい。2022年度はCovid-19の感染対策に対してある程度のノウハウが確立されてきたため、ヒトに対する実験を実施することが可能と考えている。また、キンギョの実験に関しては、ある程度信頼できる統計処理を実施した結果を提示することができそうであるため、学会報告も可能になると考えている。 2022年度はこうした費用を使うとともに、設備の増設等で必要になった物品の購入を行う予定である。
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