研究課題/領域番号 |
19K12197
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研究機関 | 久留米工業大学 |
研究代表者 |
江藤 信一 久留米工業大学, 工学部, 教授 (80380591)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 味嗜好性 / 味覚センサ / 緑茶 / 食品選択 |
研究実績の概要 |
本研究では嗜好性食品の一つである「緑茶」に着目し、福岡県久留米・八女地区の緑茶を中心とした味データベース(味DB)構築をおこない、一般消費者ごとの味嗜好性を数値化・視覚化したのちに、緑茶味DBの中からその嗜好性に合った緑茶を提示するシステムを構築することを目的としている。 研究2年度となる本年度において、「緑茶味DBの構築」及び「味嗜好性マッチングシステムの実証実験」をおこなった。緑茶味DBの構築については、久留米・八女茶から12種類の銘柄、および九州各地の緑茶(嬉野茶、日向茶、みやざき茶、雲仙茶、くまもと茶、彼杵茶など)から18種類の銘柄を収集し、株式会社味香り戦略研究所にて味認識装置TS-5000Zを用いて味数値化をおこない、DBへの追加を図った。味嗜好性マッチングシステムの実証実験については、前年度におこなった実験の反省点をふまえ、実証実験の方法を再構築し、淹れたての緑茶を使った実証実験を実施することで、緑茶の提供温度の違いによる評価の変化、市販緑茶と淹れたての緑茶との結果比較などをおこなった。結果として20名の被験者に対してシステムの評価等を実施した。本実証実験については、日本感性工学会の学術論文として令和3年度にJ-STAGE上に公開予定である。 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、被験者数を増やすことが困難であった点をふまえ、次年度は拡大防止に努めつつ、被験者数を増やし本システムの評価を進めるとともに、緑茶味DBのさらなるデータ追加をおこなう予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究2年度の進捗状況としてはおおむね順調に進んでいると考える。 交付申請書の実施計画に記載の「実証実験の実施」および「緑茶味DBの更新」を進めることができた。実証実験においては、手法の改善を取り組むことによって、本システムの評価がより明確に行える実証実験を行なえたと考える。緑茶味DBの更新については、継続緑茶銘柄12銘柄および新規緑茶銘柄18種類の味数値データを収得し、DBに追加できたことによって、50銘柄の緑茶味DBが構築できた。 本年度は新型コロナウイルスの拡大防止の観点から、実証実験の実施にも最善の注意を払いおこなう必要があったため、被験者数を増やすことが困難であった。その点は、次年度以降の社会情勢をふまえて、可能な限り被験者数を増やし、本システムの評価を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は研究最終年度となるため、「構築したシステムの実証実験」を進め、本研究の目的である「一般消費者ごとの味嗜好性を数値化・視覚化したのちに、緑茶味DBの中からその嗜好性に合った緑茶を提示するシステム」であるかを評価することに努める。 さらに、並行して他の生産地域の緑茶を収集し、「緑茶味DBの更新」を引き続き図る。 構築したシステムの実証実験においては、新型コロナウイルスの感染拡大防止を念頭に、しっかりとした体制のもと実証実験を実施し、被験者数を増やすことで、評価を進める。 緑茶味DBの更新については、初年度の久留米・八女茶、鹿児島知覧茶、2年度の九州各地の緑茶に加え、静岡・掛川茶も加えていく予定である。緑茶味DBのアイテム数は70種類を目指す。 次年度以降も本研究を遂行する上で、申請者は研究の統括・開発、実証実験をおこない、味覚センサによる茶葉の味測定に関しては㈱味香り戦略研究所と連携を 図りながら進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度において、計画していた出張(情報収集および学会発表旅費等)が新型コロナウイルス拡大による事情により実施することがなかった点、また物品費として購入予定だった実験器具等については実証実験の内容から次年度に購入することで賄うことができたため、次年度使用額が生じた。 次年度においては、本研究で使用する緑茶の購入のための出張や情報収集のための民間企業との打ち合わせを行なう予定であり、助成金執行を進めていく予定である。 またシステムの開発環境の充実のための物品購入(PC等)も行う予定である。
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