本研究では嗜好性食品の一つである「緑茶」に着目し、福岡県久留米・八女地区の緑茶を中心とした味データベース(味DB)構築をおこない、一般消費者ごとの味嗜好性を数値化・視覚化したのちに、緑茶味DBの中からその嗜好性に合った緑茶を提示するシステムを構築することを目的としている。 3年間の研究の結果として、「緑茶味DBの構築」及び「味嗜好性マッチングシステムの実証実験」をおこなった。緑茶味DBの構築については、久留米・八女茶から12種類の銘柄を各年度でデータ化し、および日本各地の緑茶として知覧茶、嬉野茶、日向茶、みやざき茶、雲仙茶、くまもと茶、彼杵茶といった九州地区の緑茶、さらには三重茶、静岡茶、狭山茶といった日本有数の緑茶産地の味データを収集し、結果70の味データを収集した緑茶味DBの構築が実現した。味嗜好性マッチングシステムの実証実験については、複数回の実証実験をおこない、それぞれの実験結果の反省点をふまえ、実証実験の方法を再構築し、淹れたての緑茶を使った実証実験を実施することで、緑茶の提供温度の違いによる評価の変化、市販緑茶と淹れたての緑茶との結果比較などをおこなった。結果として本実証実験の結果を「日本感性工学会」の学術論文にて、「味嗜好性マッチングシステムの実証実験 -八女茶を例にして-」と題して掲載するに至った。また「月刊食品工場長」(日本食糧新聞社)の2022年2月号の特集記事「おいしさの視覚化」にて、本研究を紹介し、研究成果の発信をおこなった。
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