研究課題
本研究は、動植物の体内・体表や土壌、海洋河川などに混在する細菌叢(細菌の集団)から得られるDNA配列データ(メタゲノムデータ)に対し、細菌の有する抗菌薬耐性遺伝子の変異を解析する手法を開発した。DNA読取装置は比較的高い読み取りエラー率(0.1%-数%)である。また、細菌叢中には複数の近縁種が存在し、同一の座位に複数の変異が存在し得る。これらをモデル化した推定手法を開発した。既存のメタゲノムデータを通した遺伝子解析では、メタゲノムアセンブリの際に、細菌叢中に存在する一塩基変異の情報が欠落してしまう。これは、近縁の細菌由来の類似した塩基配列が細菌叢中に複数存在する場合、メタゲノムアセンブリによって一つの代表配列が組み上げられてしまい、変異の情報が失われてしまうためである。本手法を適用することで、その詳細を解析することが可能になった。本手法は、抗菌薬耐性遺伝子の解析を目的として開発されたが、広く一般の遺伝子も同様に解析対象とすることが可能であるため、その意義は大きいといえる。本補助事業では3年間で以下の3つを遂行することを計画していた、(1)一塩基変異の塩基配列の詳細を再現する解析手法の開発、(2)開発する解析手法を組み込んだ解析パイプラインの構築、(3)ヒト腸内細菌叢中の抗菌薬耐性遺伝子の多様性の解析。しかしながら、本補助事業は初年度で廃止となったため、当初、初年度に遂行を計画していた(1)を計画通り達成し、2-3年目に計画されていた(2)および(3)は今後の課題として残ることとなった。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件)
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