• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

脳領域間・ニューロン間の因果的結合性とネットワーク構造の推定および実験的検証

研究課題

研究課題/領域番号 19K12212
研究機関統計数理研究所

研究代表者

三分一 史和  統計数理研究所, モデリング研究系, 准教授 (30360647)

研究分担者 尾家 慶彦  兵庫医科大学, 医学部, 助教 (50396470)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワードニューロンネットワーク / 因果解析 / 自励的同期現象 / 生体イメージングデータ
研究実績の概要

同時計測された変量間の因果解析法は時間ドメインと周波数ドメインとに分類される。本研究ではニューロン間の信号伝搬の時間的推移を定量化するのが目的であるので、前者の時間ドメインでの因果性推定を行っている。時間ドメインではGranger因果性検定、偏Granger因果性検定、多変量自己回帰(VAR)モデルのインパルス応答などの方法があり、有意検定には漸近法やブートストラップ法がある。検定法によっては統計量の分布が不明なものがあるのでブートストラップ法の方が汎用性が高い。
今年度はブロック・ブートストラップ(BB)法、タイムシフト・ブートストラップ法(TSB)、自己回帰モデルによるブートストラップ(ARB)法によりサロゲートデータを生成し、これらのブートストラップ法を用いた因果性検定の妥当性を評価した。
Granger因果性検定と編Granger因果性検定のいずれも因果関係を正確に推定していないが、Granger因果性検定とBB法の組み合わせが比較的良好な推定性能を示している。
瞬時的な因果関係を含むデータでは、Granger因果性検定と ARB法の組合せで完全に因果性を推定できることが分かった。
インパルス応答関数分析においてはBB法とARB法を用いると瞬時的な因果関係の有無にかかわらず、ほぼ正しく因果性を推定することができた。
Granger因果性検定と偏Granger因果性検定はVARモデルの残差を評価するものであるのに対し、インパルス応答関数はVARモデルのパラメータを評価する方法である。本研究結果からは後者の方がより正確な因果性の推定を行えるということが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度に引き続き関係者との打ち合わせがオンラインのみに制約され、また、共同研究者の実験スケジュールにも遅延が生じており、解析結果と実験結果の検証を計画通りに遂行することが難しく、実データを用いないシミュレーションデータの研究を先行させているため。

今後の研究の推進方策

因果性の推定には今年度試した方法の他に外生変数型AR(ARX)モデルをAICで評価する方法がある。また、ブートストラップ法には高速フーリエ変換をベースとするものがあるので、これらも考慮して、因果性の推定方法ごとにより検出力の高いブートストラップ法を探索する。一連のシミュレーションデータを用いた研究をベースに実データにおける因果性推定に適用する。

次年度使用額が生じた理由

旅費についてはコロナ禍以降、学会、研究会、シンポジウムなどはオンライン開催となったため剰余が発生した。
物品においては世界的半導体不足の影響で実データ解析に必要な計算機等の機器の購入が年度内に難しい状況であった。
研究成果発表のためにオンライン配信に必要な機器の購入や遅延している実データ解析のための計算機の納期情報を注視し、なるべく研究に支障の出ない方策を検討する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] State and parameter estimation of stochastic physical systems from uncertain and indirect measurements2021

    • 著者名/発表者名
      Jimenez, Juan Carlos, Yoshimoto, Atsushi, amd Miwakeichi, Fumikazu
    • 雑誌名

      The European Physical Journal

      巻: 136 ページ: 869-883

    • DOI

      10.1140/epjp/s13360-021-01859-1@2021.08

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Modeling of signaling mechanisms underlying cooperative and competitive formation of synaptic plasticity2021

    • 著者名/発表者名
      Amano, Ryota, Nakao, Mitsuyuki, Matsumiya, Kazumichi and Miwakeichi, Fumikazu
    • 学会等名
      Neuroscience 2021
    • 国際学会
  • [学会発表] 変数間のネットワーク構造を推定するための動的因果解析法 の比較検討2021

    • 著者名/発表者名
      三分一 史和
    • 学会等名
      第38回 プラズマ・核融合学会 年会
  • [学会発表] テンプレート法による乱流揺動の時空間構造の抽出2021

    • 著者名/発表者名
      稲垣 滋, 三分一 史和
    • 学会等名
      第38回 プラズマ・核融合学会 年会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi