研究課題/領域番号 |
19K12213
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研究機関 | 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所 |
研究代表者 |
伊東 保志 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 障害システム研究部, 主任研究員 (70268069)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 嚥下 / 顎二腹筋 / 筋音図 / 筋電図 / 加齢 |
研究実績の概要 |
加齢とともに我々の身体機能は低下する。喉咽頭部周辺の筋機能の低下は喉頭部の下降とそれに伴う舌骨の拳上動作の変化に繋がり、正常な嚥下動作を妨げる。加齢による筋機能低下は誰もが避け得ない嚥下機能低下の一因である。本研究は舌骨挙上に働く顎二腹筋の筋機能に注目し、その評価方法を検討するとともに、加齢に伴う喉頭付近の形態的な変化と顎二腹筋の筋機能の関連を明らかにしようとするものである。 被検者は、日常的に常食の経口摂取が可能かつ臨床的観察を必要としない19歳から72歳までの健常成人であった。実験では、椅子座位の被検者に2mLから20mLの間で量を規定された水、液状ヨーグルトおよびプリンを、それぞれ一息に飲み込むよう指示し、嚥下運動中の顎二腹筋前腹から、筋電図および筋音図を、それぞれ表面電極と小型加速度計を用いて導出した。同時に、喉仏付近に設置したマイクロフォンにより咽頭音を記録した。筋電図と筋音図の分析には短時間フーリエ変換法による時間‐周波数解析法を導入した。分析の結果、いずれの量・種類においても、40歳未満の被検者の場合、筋電図と筋音図のいずれもが嚥下反射とともに約2秒の振幅の増加が確認され、そのピークの発生時刻は嚥下音の発生時刻と一致していることが明らかとなった。一方、40歳以上の被検者は、両信号の振幅のピーク発生時刻が嚥下音発生時刻に先んじて生じることが明らかとなった。また、その傾向は加齢とともに顕著になることも明らかであった。加えて、筋電図と筋音図の振幅から算出した筋の電気・機械変換効率を反映する指標値が、40歳未満に比べて、40歳以上で統計的に有意に低下することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では、本年度は40歳から70歳までの健常成人を中心に被検者を募集し、測定例を増やして、様々な量と種類の食品を嚥下した際の顎二腹筋の筋電図と筋音図の振る舞いについて、加齢による影響を明らかにするとともに、両信号から算出した筋の電気・機械変換効率の指標が嚥下機能評価に繋がる可能性を検討することであった。しかしながら、時節柄、昨年度以上に応募者が少なく、主に一昨年度までに得たデータの分析に終始した。現在までの進捗状況としては、予定より総被検者数・データ数は少なく、様々な手法での分析・統計解析を試みたものの、昨年度までの知見を補強するにとどまった。 以上のことから、「やや遅れている」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、当初の計画に従って進める予定である。 具体的には、第一に、顎二腹筋の筋電図と筋音図の振る舞いを分析する手法について、新しい手法・技術の導入を試みつつ、筋電図・筋音図を手掛かりとした様々な指標を提案し、その中で嚥下機能評価により適した指標を検討する。第二に、可能であれば、特に高齢群を対象とした計測例を増やし、加齢に伴う喉頭付近の形態的変化と嚥下機能の関連を明らかにすることを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
時節柄、旅費が不要になったことが理由で、次年度使用額が生じた。 一方で、これまでの分析状況から、新しい手法を導入する必要性も感じており、そのために必要な機器や解析ソフトウェアの購入に、次年度使用額と請求額を合わせた助成金を使用する予定である。加えて、学術雑誌等での成果発表をより積極的に行う予定であり、その費用としても使用する予定である。
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