研究実績の概要 |
本研究では、個体全身に渡って器官特異的イメージングが可能なメダカを利用し、系統間の表現型比較解析を可能とする画像解析技術を構築し、疾患に関わる遺伝背景の解明に向けた研究を目的とした。メダカ稚魚の全身に渡る高解像3次元観察のために、広視野・高分解能2光子励起ライトシート顕微鏡の開発を行った。レーザー集光範囲を光軸方向に伸長するベッセルビームを用いて広視野化を実現した顕微鏡システム(分解能2-3μm,視野範囲600-1000μm)を構築し、その成果を国際科学誌(Takanezawa et al, Nat Commun 12:2979, 2021)にて発表した。さらにこのライトシート顕微鏡による計測の高度化を進めて、蛍光による全身での網羅的細胞解析が可能な顕微鏡システム構築を達成した。この顕微鏡を用いて骨異常を有する変異体Fused系統の計測・解析を進め、骨形態の定量化法について検討を行った。画像の局所特徴量記述子を用いて形態ランドマーク点の抽出と骨形態の数値化を行い、特徴量空間における確率場を構築し、最尤推定法による特徴点推定法の検討を行った。形態特徴量とゲノム情報の関連解析に関して、複数のメダカ変異体系統群を導入する予定であったがコロナ禍の様々な制限の下、導入がうまく進まなかった。代わりにゲノム編集技術のメダカへの応用を進め、遺伝子ノックアウトのための各種配列の設計とコンストラクト作成等を行った。
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