研究課題/領域番号 |
19K12237
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
大脇 万起子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 准教授 (00280008)
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研究分担者 |
中村 由美子 文京学院大学, 保健医療技術学部, 教授 (60198249)
竹村 匡正 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (40362496)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 機械学習 / 産後うつ病予防 / 母親 / 類似事例提示 / 支援方法の開発 |
研究実績の概要 |
2019年度は,機械学習による支援の基礎準備として、機械学習に必要な母親の多様な悩みのデータとその支援方法や解決法のデータ収集を行った。具体的には、1)アンケート調査による6か月未満の児をもつ母親100名の育児や家事に関する悩みの内容データ収集とエジンバラ産後うつ病質問票による母親の心理状態の分析検討、2)対面による育児相談実施による悩みの内容データの収集と分析検討、3)小児看護学・家族看護学・助産学の参考文献からの知識と研究者の臨床経験知識に基づく相談対応のアルゴリズムの作成、そして、4)webの電子掲示板上で参加者同士が知識や知恵を教え合ういわゆるナレッジコミュニティのデータを利用して、母親の悩み相談を収集対象にしたビッグデータの分析であった。収集できたデータの数量を勘案して、まずは4)が機械学習に有効なデータになると考えられ、以下の作業を行った。 (1) 母親の悩み相談に関するビッグデータの収集(担当:竹村):webから1歳未満の児をもつ母親の育児や自身の心身に関する相談内容の収集を行った。 (2) 相談内容データのラベリング(担当:大脇・中村):(1)のデータより、226件をランダム抽出し、小児看護学・家族看護学・助産学の視点から、相談内容のラベリングを行った。 (3) 相談内容の機械学習(担当:竹村):まずは試行的に、固定長・単語出現順位を考慮しながら、Doc2Vecを用いて文章をベクトル化して、非線形SVMによるクラスタリングを行い、ラベリングとの適合性能評価を実施した。 (1)~(3)により、一定の精度のシステム構築が可能であることは判明した。その精度を向上させるため、ラベリング内容・選定方法と機械学習方法の再検討は2020年度の課題の一つとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、機械学習による支援の基礎準備を行う計画であった。具体的には、①データ収集システムの構築 (竹村): 不満や悩みなど母親が抱えるストレスに関する発話データを収集し、テキストに変換できるシステムを構築する。これらは、家庭内に設置されたスマートスピーカー、およびスマートフォンアプリとして実装する。②母親のストレス調査 (大脇・中村): ①のアプリを用い、類似事例提示システムの実装構築に必要な母親の不満や悩みなどストレスの事例データを収集する(大脇・中村)。③調査結果の分析: 次年度に行う機械学習を用いた実装構築に用いる入力データを作成するために、②の内容の質的分析(大脇)、共分散構造分析(中村)、類型分析(竹村)を行う。④次年度の実践・評価の協力者への依頼交渉 (全員)であった。①~③については、研究実績の概要で報告した通り、おおむね順調に進展しているが、④については、新型コロナウィルス感染予防対策のため、実施を遅らせざるを得なくなった。 また、「関西広域連合 研究成果企業化促進セミナー」(https://medical2020.temssystem.com/exhiSearch/osaka/ALL/jp/WorkshopForAD?_ga=2.176190565.1157189423.1587975934-978171568.1587975934)に研究成果の一部を発表(「AIによる産後うつ予防対話型サポートシステムの開発」口頭発表 2月27日 (木) 14:20 ~ 14:50 会場:インテックス大阪 5号館 セミナー会場B )予定であったが、新型コロナウィルス感染予防対策のため、資料配付のみの発表となり充分な意見交換ができなかった。 以上の事由により、やや遅れているとの評価に至った。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度について、当初、機械学習によるコミュニケーションモデルと支援の実装構築を行うことを予定して、①スマートスピーカーを用いた類似事例提示システムの開発 (竹村): 前年度に収集した母親のストレス事例データを用いて、それら任意のデータから蓄積されたストレス事例の中から必要な類似事例を検索して提供する仕組みを構築する。具体的には、発話に出現する単語や用法に基づいて各事例をベクトル化し、SVMおよび深層学習を用いた類似事例抽出を行う。相談者からの問いかけに対してサーバー上にて類似事例を抽出し、スマートスピーカーによって音声として発話させる基盤を構築する。②ストレスの類型と各支援内容(案)の作成 (大脇・中村): 類型別に看護支援(案)を作成する。③育児支援をしている看護職者からの作成案への意見と類似事例の収集および作成案の修正(大脇・中村): ②を資料としてグループ討議し、類似事例の収集と案への追加・修正を行う。④次年度の実践・評価の協力者への依頼交渉と効果検証の準備を実施(全員)。の4点を予定していた。しかし、新型コロナウィルス感染予防対策およびそれによる心理的、身体的および経済的影響のため、③、④については、想定対象者に研究協力をするゆとりがなく、現時点では実践研究が困難な状況にあると考える。そのため、最悪の場合2020年度も研究者間のみで実施できる内容を限定的に推進するに留まらざるを得ないと想定している。 以上のことを踏まえ、2020年度の予定している具体的内容として、1)Doc2VecとSVMのパラメータ調整(探索)を行う、2)深層学習において転移学習の可能性を検討する、3)相談内容に関する回答(正答)のアサインの方法を検討する、という3点を重点的に行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、2020年3月頃に予定にしていた実践研究の準備のための物品購入や謝金、データ分析補佐のための謝金(大学にある機器を使用して分析補佐を大学院生等に依頼する予定であった)が、コロナウィルス感染が発生したため、比較的早期から、購入や対人を要する依頼事項を中止し、急ぐ作業は、全て研究者で実施した他、研究者会議などもリモート会議にしていたため、諸経費が残額として、保持された。 今年度においても、コロナウィルス感染の状況は影響するため、安全確保をしながら、状況をみて、使用計画を立てることになる。よって、研究者の研究進行で使用計画を立案できない部分もあり、現時点では、状況をみての臨機応変な使用計画に留まらざるをえない。 今後、感染の第2波、第3波も想定するべき現状がある。長引けば、研究期間の延期も検討する必要が生じるので、使用計画も慎重さが必要と考えている。
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