研究課題/領域番号 |
19K12237
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
大脇 万起子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 准教授 (00280008)
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研究分担者 |
中村 由美子 文京学院大学, 保健医療技術学部, 教授 (60198249)
竹村 匡正 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (40362496)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 機械学習 / 産後うつ病予防 / 母親 / 類似事例提示 / 支援方法の開発 |
研究実績の概要 |
今年度は、機械学習による類似事例提示の方法について、母親の悩みのシリアス度に応じた対応の検討を行った。 具体的には、Q&Aサイトのデータ1,246件の質的分析により、母親の状態および悩みの内容をアセスメントした。結果、AIの指導対応が可能と判断できたもの、すなわち、母親に対する一般的知識の教授で対応可能範囲にあるもの、すでに専門職の母親支援が入っている、もしくは入る予定があり、母親にその活用を促せばよいもの、母親が自主行動を取れ、緊急性が低いと判断できるもの、サイトなどの知識・スキルの資料紹介や専門機関の一覧紹介で、育児相談・受診など母親が自主行動を取れると判断できるもの、および指導・介入の必要性はないが、母親の欲求充足のため、対応した方がよいものは、計95%を占めていた。専門機関や家族との連携が必要と判断したもの、すなわち、母親が病理的状態にあると判断でき、すぐに連絡が必要なもの、事象の緊急性はあまりないが、母親が精神的病理傾向にあるもの、および母親に施設紹介しても、母親自身だけでは自主行動が取れない可能性が感じられ、機関にも応援要請をしておいた方がよいものは、残りの5%を占めていた。 よって、このシステムの実装化が実現すれば、95%の母親のAIによる産後うつ予防ができ、すでに病理に陥っている5%の母親については、早期発見・早期対応ができると考えられた。 なお、ユーザーに使用してもらうインターフェイスおよび使用時ユーザー登録をするか否かについては検討中であるが、登録する方が、シリアス度が高い場合、専門機関や家族との連携が可能となると考えている。 残る課題としては、質問へのAIの応答精度は、現在、85%程度であり、実装・普及には、95%以上の応答精度が必要と考えている。母親のデマンドを適切に充足する正確な応答を実現するため、引き続き、様々な方法を検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究者間で進められる作業については、研究実績の概要で報告した通り、おおむね順調に進展しているが、研究者の拠点が、京都府、大阪府、兵庫県、および東京都にあることもあり、昨年に引き続き、新型コロナウィルス感染予防対策のため、実践・評価のための、協力者への依頼交渉については、実施を延期せざるを得なくなっている。
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今後の研究の推進方策 |
この研究に必要と考えられる、育児支援をしている看護職者からの作成案への意見と類似事例の収集および作成案の修正と、 実践・評価の協力者への依頼交渉と効果検証の実施が、2020年度に引き続き、新型コロナウィルス感染予防対策およびそれによる心理的、身体的および経済的影響のため、想定対象者に研究協力をするゆとりがなく、現時点ではまだ困難な状況にあると考える。そのため、最悪の場合2021年度も研究者間のみで実施できる内容を限定的に推進するに留まらざるを得ないと想定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、昨年度に引き続き、予定にしていた実践研究の準備のための物品購入や謝金、データ分析補佐のための謝金(大学にある機器を使用して分析補佐を大学院生等に依頼する予定であった)が、コロナウィルス感染が発生したため、対外協力依頼を中止し、急ぐ作業は、全て研究者で実施した他、研究者会議などもリモート会議にしていたため、残額として、保持された。 今後においても、コロナウィルス感染の状況は影響するため、安全確保をしながら、状況をみて、使用計画を立てることになる。よって、研究者の研究進行で使用計画を立案できない部分もあり、現時点では、状況をみての臨機応変な使用計画に留まらざるをえない。 感染の収束を期待としたいが、長引けば、研究期間の延期も検討する必要が生じるので、使用計画も慎重さが必要と考えている。
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