研究実績の概要 |
ピアノ学習支援システムを使ったピアノ初心者が,システム無しでもピアノを弾けるように,演奏技術を身に着けられる演奏支援システムを構築することを目的としている.そのため従来のピアノ演奏支援システムの支援機能を細分化し,それぞれの支援機能がピアノ初心者にどのような効果をもたらすかを実験により確認する. 前年度に引き続き童謡 10 曲を対象とし 15 回(各 1 時間)に分けて練習するデータを取得した.長引くコロナ禍で体調不良や濃厚接触者となり安定した練習期間ではなかったが,去年の 10 名に比べ 7 名増加し計 17 名分のデータ,および,アンケートを取得した.また,被験者数の少なさから議論が難しかったピアノ演奏の専門家との議論を行った. 期間全体を通して,(1) 通常の楽譜による練習,(2) 打鍵した音の高さと五線上の同じ高さに色を付けたバーを表示する機能による練習,(3) 打鍵した音の高さに一致する音符に色を付ける機能による練習,(4) 演奏中に正しく引いた音符には青,間違えた音符には赤の色を付ける機能による練習,の 4 通りで主に実験した.研究開始当初は,初心者により好まれる機能は (2),次に (3), (4), (5) の順であると仮定したが,その傾向はありつつも (2), (3), (4) は個人の好みによる意見も見られた.特に (2) は最初の練習では必要だが 15 回すべてに必要と言うことではなく,ある程度の練習回数で不要になるとの意見が多かった.また,(3), (4) は正しく弾いた音符に色がつくため,初心者はその機能に依存しがちになり,通常の楽譜になった場合に表示がなくなることから戸惑ったり弾けなくなるという傾向も見られた. 研究期間終了間際まで被験者とのデータ収集を行っていたため,すべてのデータを含めたデータ分析も引き続き必要となる.
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