学習支援システム上の教育ビックデータを活用し、学習者個々人の修学状況の解析に基づく学習支援を目的として、令和5年度は以下の項目について研究を行った。 まず、全学の講義室に導入された出席登録システムの記録、LMS等のアクセスログの解析により、講義期間中の学生の修学活動を推測することで、学修支援の可能性を引き続き検討し、部分的ではあるが、学生支援に結びつけることを試みた。 次に、プロセスマイニング手法を基づき、学生の履修計画と実際の履修履歴、さらにはカリキュラムの設計方針との関係性について解析を試み、この成果を国際誌に公開するととも、この研究成果で令和5年9月に1名が博士号を取得した。 また、コロナ禍での学校閉鎖の解除の判断について、インドネシア・スラバヤ市におけるデータと各行政区の基本情報などを基にモデル化を行い、その判断基準や妥当性について検討した結果を国際誌に投稿したものの、現在査読中である。 本研究課題を申請した2018年秋時点では、対面講義が原則であり、学習支援システムの利用は、講義中の資料提示や講義前後の自学自習やオンラインでの課題などに限定して、研究計画を考えていた。コロナ禍で、大学での学修環境が、日本国内のみならず国際共同研究先の大学でも大きく変化したが、令和5年5月の新型コロナウイルス感染症の5類移行後も、以前の対面を前提とする講義形態に戻ったわけではなく、遠隔講義・ハイブリッド・ハイフレックスなど多様な講義形態で教育を実施する中、新しい学修環境・教育環境での学生支援の手法についても、研究テーマを変更する形で研究を進めた。一連の研究の結果、学修を進める課程で学修支援システム等の利用履歴から、学修者への早期支援の可能性を見出すことができたと考えている。
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