本研究では,複数のスマートデバイス(タブレット,眼鏡型デバイス,リストバンド型デバイス)を活用することで,オンラン学習中における学習者の学習状況を把握することを目的としている.今後,スマートフォンやタブレットに加え,様々なスマートデバイスの普及が期待されるなか,このような複数のスマートデバイスを活用することで,個人に適した学習環境を実現することが本研究の課題である.これまで,学習コンテンツ管理,学習ログ管理の機能を持ったオンライン学習環境を構築し,眼鏡型デバイス,リストバンド型デバイスに搭載さたセンサによるデータ計測機能を実装しながら学習者の学習状況を把握する上での課題を明らかにしてきた.本年度は,このオンライン学習環境において,学習端末として利用するタブレットに,以下の機能を実装した. 1)フロントカメラでの学習者の顔画像動画の撮影・記録機能 2)学習時におけるタブレットの加速度センサの計測・記録機能 更に,実装した機能を検証するために,オンライン学習環境を想定した実験を6名の大学生を対象に実施した.オンライン学習中にタブレットのフロントカメラで撮影した学習者の顔画像動画を対象に画像処理ライブラリであるOpenCVと顔画像認識ライブラリであるDlibを使い分析した.学習中の学習者の顔の向き(正面,上・下,左・右)を推定し,学習時間中に学習端末に学習者がどのように向き合っているかを検証した.その結果,3~5分程度の学習時間の後半には学習者の顔が下方に向き,タブレットのフロントカメラでは顔全体を捉えることができない傾向が見られた.このようなことから,学習者の顔全体ではなく,鼻から上,もしくは目の周りの特徴点を利用し顔の分析をしていくことが今後の課題として明らかになった.
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