オンライン大学で学ぶ学生の学習履歴と学習意欲に関する調査を行った。オンライン大学においては、フルタイムで仕事をしながら学ぶ学生が多いため、非同期のオンデマンド型授業が中心となる。初年次学生は、授業期間を前半と後半に分けると、前半においては、少しずつドロップアウトが増加していくが、前半の受講を完了できると、後半においてはそのまま学習継続が可能となる学生が多かった。また、2年次、3年次になると、初回の授業を受講完了できたら、最後までドロップアウトせずに進めることができる学生が多くなった。 教職員による学生の学習支援に関しては、適切なタイミング(授業開始前、授業の前半、後半、終了前等)において、激励や注意喚起のメッセージを送ることにより、ドロップアウトが抑制される傾向が見られた。 学習動機の調査からは、学生が学ぶための動機として、交流する友人を作るコミュニケーション志向の学生が一番少なく、自己向上志向の学生が最も多かった。 動機づけの調査からは、外発的動機づけが最も小さく、取り入れ的動機づけ、同一化動機づけ、内発的動機づけの順に比率が大きくなっていく。 アンケート調査からは、アカデミック・アドバイザー(担任)からのメッセージよりは、授業で質問した際に、教員から返される回答の方が、より学習意欲に結びついていることが示された。また、腕時計型のデバイスで、リアルタイムに生体情報(自分の集中度等)を表示することはあまり好まれず、学習後に、LMSのダッシュボードでの自分の進捗状況全体が把握できる画面が学習意欲喚起につながっていることが示された。 また、初年次の必修科目において、学習スタイルと成績の関係を調査し、最終成績と授業開始日から初回の授業完了までの日数については、負の相関が最も高かった。つまり、初回の授業を早く終わらせれば終わらせるほど、最終成績が高くなる、という結果となった。
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