研究課題/領域番号 |
19K12262
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研究機関 | 松江工業高等専門学校 |
研究代表者 |
片山 優 松江工業高等専門学校, 電気情報工学科, 准教授 (30390488)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | モーションキャプチャ / 伝統工芸 / 紙漉き / 暗黙知的技能 |
研究実績の概要 |
「和紙:日本の手漉和紙技術」はユネスコ無形文化遺産として2014年に登録され,和紙作りの技術が改めて注目されるようになった.一方,和紙作りの担い手である紙漉き職人の高齢化は進んでおり,1993年には全国に440軒あった手漉き和紙工房が,2016年には半数以下となる207軒にまで減少している.島根県内においても石州和紙の産地である浜田市三隅町の職人(伝統工芸士)は4人,出雲民芸紙の産地である松江市八雲町の職人は2人しかいないのが現状である.また,伝統工芸士の資格を得るために,最低でも12年以上の経験が必要であり,紙漉きの技能修得の困難さが容易に想像できる.さらに,職人の有する暗黙知的技能は,反復練習や様々な経験を通じて体が覚えているものであると同時に,定量的に第三者に伝えることが困難であるため,後継者問題はますます加速していくことが容易に想像できる.また,産地が同じであっても各工房や職人によって漉き方にも特徴があり,一概にこうすれば良いという指針もないことが伝承をさらに難しくしている要因である. 本研究は,和紙職人による紙漉き時の動作計測と視線計測を行い,職人の持つ暗黙知的技能の定量化および未熟練者への技能伝承を目的とし,技能データを計測・解析し,後継者育成の手助けとなる指導方法および練習用装置の開発を試みるものである.暗黙知的技能の定量化のため,モーションキャプチャシステムとアイマークレコーダを用いて上半身の各部の動きと視線移動を同時計測する. 現在,松江市内の紙漉き職人に協力して頂き,紙漉き時の動きを計測したが,再度取り直しを予定している.また,弟子の動きもデータを取得し,職人による指導と本研究で取得したデータによる客観視が技能向上にどのように影響するか調査する.現在,電気学会全国大会,C部門大会等にて進捗状況を発表する予定で準備を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
モーションキャプチャシステムの納入時期の遅れに伴い,当初取得する予定だったデータの一部しか取れていない.また,コロナウイルスの影響もあり,高齢の職人に対するデータ取得のスケジュールが調整しにくい状況である.
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今後の研究の推進方策 |
現在,納品されたモーションキャプチャシステムの使用条件をチェックしている段階である.また,紙漉き職人と弟子の方にデータ取得のスケジュール調整を行っているところである
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