本研究では学生視点から開発したアクティブ・ラーニング用教材の構築を試みた.この3年間にVR技術の社会実装が急速に進んだ.産業界では設計現場のみならず,現場体験やスキルアップなどの教育への導入も顕著になった.そこで本研究では学生の興味を強く惹くアクティブ・ラーニング教材の開発を行った. 以前より学生と共同開発した教材は実体モデルとして授業に用いた実績があるが,予算や製作時間と製作技術,設置場所などの制約により開発教材が製作できなかったものがあった.これらの教材を仮想空間の演習室で視聴できる動く3次元モデルのVRコンテンツとして,HMD(Head Mount Display)とコントローラーでインタラクティブに視聴できる仮想演習棟を構築した.試用した学生の意見を取り入れて,360°カメラを用いて実際の実験装置や実習作業を撮影し,仮想演習棟内で視聴できる教材とした. 別のコンセプトとしては,実物でなく仮想空間だからこそ表現できる教材として室内に入れられない大型建設機械の動作機構や,学生の理解が難しい結晶構造を3次元モデルとしてミクロの仮想世界を視聴できるコンテンツ,材料力学の学習で負荷状態での内部の応力状態を学習者の希望断面で表示するコンテンツを構築したほか,安全上失敗させられない実験で敢えて失敗させることで知識の定着を図る目的で電気回路の実験装置を構築した, さらに授業の補助教材や事前学習だけでなく,遠隔授業や反転授業のための学習ストーリーを創造したほか,遠隔授業の補助教材としてインターネット上で利用可能なスマートフォンの画面やスマートフォンを簡易型のHMDに装着して立体的な視聴ができる実習の360°動画教材や図学の立体モデルを補助教材として制作した. 以上により,本研究の目的である学生視点から開発した教材の VR技術活用による色々な可能性を確認することができた.
|