研究実績の概要 |
本事業のもとで開発してきた,タイピングによるプログラミング学習支援システムを2022年度の授業で提供して,サーバに蓄積された情報に対して詳細な分析を行った.各記録から,1回の実施の所要時間(タイプ時間)および誤タイプ数を集計し,タイプ数が異なる各回の実施にも統一的に分析できるよう,1タイプごとのタイプ時間および誤タイプ率を算出した.学生が継続的なタイピング練習を行うことによって,タイピング状況にどのような変化が起こるのか明らかにするため,94名1,786レコードについて分析した結果,1タイプごとのタイプ時間および誤タイプ率は,実施回数が増えるにつれ減少する傾向が見られたこと,1回目と19回目の間ではt検定により有意差が認められたこと,特にプログラミングやタイピングに慣れていない人ほど大きく減少していたことなどを得た.実施者ではなく2022年度までに作成した34の問題ごとに分析を試みると,2021年度に開発した通常問題については後ろの問題ほど1タイプごとの誤タイプ率が減少する傾向が見られたが,2022年度に開発した補充問題ではそのような傾向が見られなかった.誤タイプが起こった際に入力された文字およびタイプされるべき文字に関して集計を行ったところ,入力された文字,タイプされるべき文字のいずれにも,+や{といった,日本語キーボードではShiftキーを押しながらタイプする必要のあるキーが上位10位以内にのぼった. 研究期間全体を通じて,写経型学習に基づくプログラミング学習支援のためのWebアプリケーションを構築し,和歌山大学システム工学部の授業で提供してその有用性を確認することができた.
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