診療放射線技師を養成するにあたり,病院施設での臨床実習は教育課程における必要不可欠な必修科目である。その内容は多岐にわたり,学生は実際の装置,患者を相手に学習を行っているが,その中で実習が許可されにくい実習にマンモグラフィ検査がある。患者は必然的に上半身を裸に晒さなければならず,またデリケートな乳房を圧迫するという痛み,および屈辱感を伴う。そのため,女性学生であっても,撮影実習に同席することが難しい。これに対し,乳房X線撮影用ポジショントレーニングツール等を使用すれば学生の体験実習が可能であるが,学生の中にはツール着用に嫌悪を抱く者が多い。一方で,会話が可能なシミュレータードールはあるが,そのほとんどは教員があらかじめ決められた会話を選択しているものである。これでは臨機応変な対応が求められる臨床現場の再現は不十分である。そこで本研究では,人工無脳(自動応答プログラム)というICTを活用することにより,①モンスター(自己中心)型,②不安訴え型,③ノーマル型にカテゴライズした応答特性を持つ音声対話システムを構築した。 本システムはタスク指向型対話システムとし,各カテゴリーの質問に対する解答キーワードで状態遷移をさせながら対話によるコミュニケーションを実行する。各カテゴリーにおける状態遷移シナリオは,「乳がん検診」に関する「Q&A」について公表している検診施設webサイトより抽出して作成した。その際,テキストマイニングとして単語抽出,分析を行い,「マンモグラフィ」に関連する一般人が持つであろう意識分析を行い,各カテゴリーへ分類した。
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