がん登録実務者は、精度の高いがん登録だけでなく自院のがん情報を分析・評価できることが望ましい。そこで、精度の高いがん登録に加えてデータを分析・評価できる実務者育成を目的に、演習用教材(以下教材)と「教育用がん登録システム」(以下登録システム)を開発した。教材は、国際医療福祉大学大学院で開発した教材DB内に作成した模擬カルテを元に、院内がん登録情報を集約した模擬サマリー(以下サマリー)を作成した。登録システムは、FileMakerを用いて開発した。 サマリーは、これまで作成したものに加えて演習で学生が間違えやすい項目を把握して症例を増やした。記載は、実務経験に合わせて詳細な記述の症例と登録に必要な情報に絞った症例を作成した。 登録システムは、院内がん登録情報を項目別に登録演習するものと登録したデータを集計・分析するための2つの機能を構築した。また、登録項目を間違いなく登録できるように、①プルダウン方式による選択、②部分一致入力、③登録項目の解釈や説明等の情報提供、④日付入力時のカレンダー活用の入力補助機能を設けた。さらに、登録データの活用法を学ぶために、①データの検索・項目別集計及び結果のエクセル出力、②データベース内のがん登録情報をダウンロードして統計分析演習、③自施設の院内がん登録データをアップロードして利用の機能を設けた。 教材と登録システムを授業で使い、評価後改良を加える予定だったが、2021年度も授業はオンラインのみだった。そのため、登録演習は登録システムの代わりにエクセルの登録演習用シートを利用し、サマリーの評価と改良を行った。登録システムは、本研究責任者とそのスタッフがサマリーを用いて登録演習後、評価と改良を行った。最終的には、院内がん登録実務者4名と学部4年生3名の協力で登録システムを利用した登録演習を行い、登録システムの評価と改良を行った。
|