研究課題/領域番号 |
19K12278
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
茅島 路子 玉川大学, 脳科学研究所, 研究員 (80266238)
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研究分担者 |
宇井 美代子 玉川大学, リベラルアーツ学部, 教授 (80400654)
平嶋 宗 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (10238355)
林 雄介 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (70362019)
林 大悟 玉川大学, 文学部, 教授 (10432890)
小田部 進一 関西学院大学, 神学部, 教授 (60407666)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 再構成型概念マップ / 概念マップ / Kit-Build方式概念マップ / 学習支援 / 主体的・対話的で深い学び / 読解力 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,「再構成型概念マップ」を中核とする「協調型授業リフレクション」の枠組みとその支援システムの開発である.2019~2021年度までは教員と学習者との「協調型授業リフレクション」を検討した。2022年度は、再構成型概念マップによる読解支援の基礎的研究に着手した。現在の教育現場では、読解力の育成は主として国語教育で行われ、「主体的・対話的で深い学び」を目指し、話し合い活動が取り入れられている。だが、読解力を高める話し合いの実現は容易でない現状がある。そこで、話し合い活動において学習者たちが互いの意見の共通点や相違点の理解を促す支援として、再構成型概念マップを「共有表現(shared representation)」として用いることを提案し、その有効性を検討した。
共有表現を決定するには、参加者同士が意見を交換し意見を統合する必要がある。この過程は学習者にとって困難かつ時間がかかり、教育現場では現実的ではない。そこで、共有表現の一つとして再構成型概念マップを提案する。参加者たちに再構成型概念マップの部品を提供し、部品を組み立てて自分の意見を表明する。このことで、参加者の互いの意見の共通点や相違点が明確となり、参加者たちは互いの意見の理解が促進されると考える。
共有表現としての再構成型概念マップの有効性を検討するために、大学生を対象に解釈の多様性を持つ物語に対する他者の意見や自己の意見を再構成型概念マップの部品を用いて組み立てさせることを試みた。その結果、物語を最初に読んだ時には物語の文を根拠とした被験者たちが挙げたそれぞれの自己の意見が互いに類似していたが、他者の意見や自己の意見を共有表現で組み立てた後に同一文を根拠とした自己の意見は広範囲となり、変容が見られた。他者の意見や自己の意見を共有表現で示すことで物語の内容理解が深まったことが示唆された。
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