研究課題/領域番号 |
19K12284
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
三武 裕玄 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (30613939)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | プロシージャルアニメーション / 動作生成 / 躍度最小軌道 / バーチャルヒューマン |
研究実績の概要 |
昨年度の研究で、躍度最小軌道による到達運動列と、ノードグラフを用いた到達目標計算の記述からなるインタラクティブな動作生成手法を提案した。そこで本年度はまず、提案手法を用いた動作制作環境のユーザーテストを行った。従来の制作技術が使えることが望ましいと考え、通常のアニメーションの作成経験のある人を含む10名程度を対象に利用してもらった。結果、各利用者が独自の動作の作成をできた一方で、到達目標算出のための座標変換列を定義するノードグラフについては3DCGの計算に熟達していないと独自の利用法を見出すことが難しいことも示唆された。 また、到達運動を用いた動作のデザイン手法を2種類検討した。第一は、全身の関節角の時系列からなる従来の動作データを躍度最小軌道列に変換する手法である。これはモーションキャプチャや既存のアニメーションデータをもとにして対象の動きに応じて変化するインタラクティブな動作を作成することを可能にする。変換はCMA-ESを用いたフィッティングにより実現し、得られた到達運動列の編集しやすさを考慮した評価関数を用いた。第二は、到達運動列を一定の規則によって変換することで、ニュートラルな動作を何らかの感情表現を伴う動作に変換する手法である。到達運動の長さや身体パーツに依存した到達運動開始時刻のずれ等が感情表現に寄与する可能性が示唆された。 さらに、動作の調整をオンラインで行う環境の構築も行った。インタラクティブに変化する動作の調整には実際にキャラクタとのインタラクションを行うことが必要であり、遠隔地の人同士が協力して動作のデザインを行うには遠隔で作成したキャラクタとのインタラクションを行う環境が必要となる。そこでオンライン共有VR環境を用いて実現を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は様々な動作の作成を行ったことと第三者によるユーザテストを通じて、躍度最小軌道・IK・PD制御を用いた基礎的な動作エンジンの有用性と限界を確かめることができた。また、提案手法を用いて動作のデザインを行うための手法の2種類提案することができている。 一方で、ユーザテストを通じて判明した課題については解決のための研究を引き続き行う必要があることから、今後注力していく。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、まず提案フレームワークをより一般向けに利用可能なソフトウェアとし、広く利用を募って実際にインタラクティブなキャラクタの作成に利用してもらうことを目指す。実際に利用してもらうことで、提案手法の用途に関して利用者の立場から様々な発想が得られることが期待できる。また、同時に手法の限界もより明らかになると考えられる。 また、動作エンジンそのものの改良も継続する。具体的にhあ、到達精度の指示に基づく到達軌道の変化や視線の自動生成、人間の到達動作における最適制御の仕組みを模倣したより自然な到達運動生成手法の実現などを試みる。 同時に、動作例を作成するだけでなく、様々な行動決定プログラムを作成して動作例と組み合わせることで、提案手法がインタラクティブキャラクタの行動決定プログラムの書きやすさに寄与することの検証も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はコロナ禍により国内・国際会議に伴う出張がなく、旅費の利用が少なくなった。本年度も出張の困難な状況は持続すると考えられることから、遠隔でキャラクタ動作の研究を推進するための環境を構成するための利用を計画している。
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