本研究では、まず、到達運動をキーフレームとし、躍度最小軌道・全身逆運動学・関節角PD制御により状況に応じて相手の位置に追従して変化する動作を作成・実行するフレームワークを実現した。その上で、さらに次の2点の研究を実施した。 まず、本手法における動作デザインの手法としてモーションキャプチャデータを利用可能にする研究を行った。実現したい動作をとらえたモーションキャプチャデータ1~2個を用意し、躍度最小軌道をフィッティングする手法を研究、実現した。モーションキャプチャデータの利用は、従来手法で制作されたアニメーション資産を利用可能にすることや、人によってはキーフレームを一つ一つ手打ちするより手軽に微調整前のたたき台となる動作が制作できるメリットがある。 次に、本手法による動作生成フレームワークの拡張として、記憶・注意・感覚行動との連携に取り組んだ。過去に視覚情報から得た物体の位置情報を記憶し、記憶に基づいて行動を実行することで、感覚や記憶に間違いがあった場合に動作が失敗するようになった。さらに動作に必要な感覚情報を動作記述の一部に含めることで、失敗時に必要な感覚情報を取得しなおしてから再実行するという、行動→感覚→行動の連携を簡単ながら実現できた。こうした失敗と修正の動作は状況による多様性が大きいためあらかじめデザイナーが作成しておくことが難しく、自動生成の対象とすることが望ましいと考えた。
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