研究課題/領域番号 |
19K12289
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
羽田 久一 東京工科大学, メディア学部, 教授 (00311788)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティ / 臨場感 / 風覚 / 触覚提示 |
研究実績の概要 |
本研究ではHMDを利用したVR体験において臨場感を向上させるために,コンテンツに触覚を追加するためのフレームワークを構築することである.温度による感覚や風による触覚といった感覚は,皮膚に働きかける感覚であるが,人体に直接デバイスを装着することなくとも遠隔から刺激を与えることが出来るという特徴がある.そこで,VR環境において臨場感を向上させるためにヒーターやファンといったデバイスを用いることで刺激を提示することを試みている. 今年度の研究としては,主にVR環境内での視覚情報と風や熱といった触覚情報の提示を行うためのツールキットの開発を行った. まず,ツールキット開発のための予備実験として,遠隔からの熱提示を行える赤外線ヒーターを円周上に配置し,人力で制御することで全周囲からの間隔として認識できるかという実験をおこなった.その結果,風覚では以前からの研究で判明しているのと同様にななめ方向前方,後方の4方向からのヒーターを利用することにより,全周囲からの感覚として提示できることを確かめた. 本ツールキットはESP32を用いて動作し,WIFI通信を用いて複数のファンを同時にコントロールすることができる,IoT型のファンのミドルウェアとして開発している.通信を受け持つモジュールと,ヒーターやファンといった大電力の装置を駆動するためのドライバをわけて実装している.今年度はファンやヒーターといったデバイスを複数台遠隔からコントロールするためのツールキットのためのファームウェアを構築したが,VR空間の構築のためのUnityとの連携面が十分に実現できてない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基本設計は完了しており,ファームウェアの実装もほぼ完了している.しかしながら春季の長期休暇中に学生アルバイトを利用して実際に実験をおこないながら開発をすすめる予定であったが,COVID-19の広まりにともない,実装を行うための設備がある大学構内に立ち入りできないなどの問題から,主にハードウェアとVR環境の連携部分の開発が遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は当初の計画に追いつくために,実装したファンコントローラのVR空間内での自由な情報提示につながるミドルウェアの開発を行う.さらにこれらのミドルウェアを利用し,VR空間内で風源や熱源を自由に配置できるようにすることで,当初の計画どおりの実験を行うこととする.また,COVID-19の状況にも左右されるが,被験者による実証実験を行い,有効性についても検証をおこなう予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨今のCOVID-19による情勢の変化により年度末の学内での作業ならびに国外,国内の出張が困難となったため,主に旅費として計上したものやアルバイト作業の労務費の合計48万円弱が次年度の繰越となっている.これらの費用のうち,アルバイト作業に20万円の追加を行い,進捗が遅れているミドルウェア開発のために必要な作業を加速する.
さらに当初予定していたカンファレンスに加え,VR分野に関連する複数の国際会議がオンライン開催を予定されているため,当初の予定に加え20万円を追加で利用することでより多くの会合へ参加するようにする.そのほか,開発にかかるパーツの手配費用もCOVID-19の影響によりコスト増となっており,こちらに8万円を当てることとする.
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