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2021 年度 実施状況報告書

都市域河川水における希土類元素とその他レアメタルの潜在的汚染の実態調査と動態解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K12300
研究機関麻布大学

研究代表者

伊藤 彰英  麻布大学, 生命・環境科学部, 教授 (60273265)

研究分担者 朱 彦北  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (90422790)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード希土類元素 / レアメタル / 河川水 / 潜在的汚染 / ガドリニウム / ICP-MS / 下水処理放流水 / 化学形態別分析
研究実績の概要

今年度は昨年度までに確立した河川水及び下水処理放流水に含まれるレアメタルの網羅的多元素分析法である還流型加熱酸分解処理を併用したキレート固相抽出/ICP-MS法を2017年から2021年度まで3~4か月おきに11回にわたり多摩川中流域から下流域にかけてサンプリングした河川水試料や下水処理放流水試料の分析に適用し、潜在的人為汚染元素の特徴について解析を進めた。その結果、いずれかの試料について下水処理放流水合流後に数倍から10倍程度濃度上昇がみられた潜在的人為汚染元素として、Gd, B, Mn, Co, Ge, Rb, Mo, Cs, Ptなどレアメタル30元素が確認された。この中で、11回のモニタリング分析において常に下水処理放流水による濃度上昇が確認された元素としてLi, B, Mn, Co, Ni, Ge, Rb, Cs, Ba, Sc, Se, Y, Mo, Ba, Dy, Gd, Ho, Er, Tm, Yb, Luのレアメタル21元素が確認された。これらの元素はこの4年の間の明らかな濃度上昇は見られないが、今後継続的な監視が必要なレアメタルと考えられる。この21元素の中の3分の1を占める希土類元素に着目し、東京都と神奈川県の県境にそって流れる2級河川である境川の分析を行ったっところ、MRI造影剤を起源とする濃度異常が確認されるいるGdの他にEuについても明らかな濃度上昇がみられた。
陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、ODSなどの固相抽出剤を用いて、逐次的に潜在的汚染元素の化学形態別分析を行ったところ、Gdの多くはMRI造影剤と同じ陰イオン形のまま河川水中に流出しており、粒子形態への取り込み割合も小さいことが明らかになった。河川水による希釈により濃度は減少するものの、河口域でも除去されずに海域に流出することが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

潜在的汚染元素の化学形態別分析の際に、河川水や下水処理放流水中のマトリックスの影響を受けて分離過程が複雑になってしまったため、方法の改良にやや時間がかかってしまっことに加えて、でコロナ禍で研究室活動に制限がかかった時期があるため、やや遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

今後はガドリニウムをはじめとした希土類元素の化学形態別分析の精度を高め、特にGdと他の希土類元素の化学形態ぼ違いや環境動態の違いを明らかにし、研究全体の総括を行う。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の蔓延にともない、研究活動が停止する期間があったため、研究の実行に遅れが生じたため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Pseudo isotope dilution (PID) as an approach for correcting barium-related spectral interferences on the measurement of europium by inductively coupled plasma mass spectrometry (ICP-MS)2021

    • 著者名/発表者名
      Zhu Yanbei、Itoh Akihide
    • 雑誌名

      Analytica Chimica Acta

      巻: 1180 ページ: 338854~338854

    • DOI

      10.1016/j.aca.2021.338854

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Direct determination of rare earth elements in natural water samples by inductively coupled plasma tandem quadrupole mass spectrometry with oxygen as the reaction gas for separating spectral interferences2021

    • 著者名/発表者名
      Zhu Yanbei、Nakano Kazumi、Shikamori Yasuyuki、Itoh Akihide
    • 雑誌名

      Spectrochimica Acta Part B: Atomic Spectroscopy

      巻: 179 ページ: 106100~106100

    • DOI

      10.1016/j.sab.2021.106100

    • 査読あり
  • [学会発表] 還流型加熱酸分解処理を併用したキレート固相抽出/ICP-MS法による 都市域河川水及び下水処理放流水中レアメタルの定量2021

    • 著者名/発表者名
      八井田朱音、天野友輝、中野和彦、伊藤彰英
    • 学会等名
      第70回日本分析化学会

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公開日: 2022-12-28  

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