研究課題
基盤研究(C)
本研究では,近年入手が可能となった人工衛星による海面塩分データを用いて,海面塩分場にみられる中規模渦の活動度を全球海洋において評価した。太平洋,大西洋,インド洋のいずれの海域でも,中規模渦の回転流に伴う塩分輸送を捉えることができた。この中規模渦による塩分輸送は,従来から知られている降水や蒸発,エントレインメント(下層からの水塊取り込み)等と比べても,無視できないほどのインパクトを持つことが明らかになった。
海洋物理学
近年利用可能になった人工衛星による海面塩分データを用いて,海洋中規模渦による回転流が背景の塩分場に及ぼす影響について調査した。中規模渦による塩分輸送は,先行研究によっても特定海域で断片的には報告されていたが,本研究はそれを包括的に取り扱い,さらに塩分収支解析によって蒸発や降水等と比較することで,中規模渦による塩分輸送が塩分変動に無視できない影響を持つことを明らかにした点に学術的な意義がある。本研究で得られた観測的知見は,今後数値モデルの改善に役立てられるものと期待される。