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2020 年度 実施状況報告書

海洋マイクロプラスチックの生物作用を介した鉛直輸送過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K12307
研究機関東京大学

研究代表者

山下 麗  東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (60599629)

研究分担者 福田 秀樹  東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (30451892)
西部 裕一郎  東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (50403861)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードマイクロプラスチック / 顕微FT-IR / セジメントトラップ / ゲルトラップ / 海洋汚染
研究実績の概要

本年度は、海底堆積物からMPsを抽出する方法を確立し、市販のプラスチックビーズ(250-300μm, 106-125μm, 63-75μm,密度は何れも1.0 g/cm3)を用いて添加回収実験および再現性の実験を行い、80%以上の回収率と75%以上の再現性が得られた。
以前採取して保管していたセジメントトラップ試料中の甲殻類を使い、4種の多酵素洗剤に浸漬した後、pH調整を行ったキチナーゼを添加することで分解時間の短縮が可能になったが、完全にキチン質を分解することは出来なかった。しかしながら、MPsをナイルレッドで染色させることで、体内に残留しているMPsを解剖あるいは分解によって検出することが可能になり、スクリーニングとして利用できることが可能になるかもしれない。
マイクロプラスチックの海水中の沈降状態を観察するためにゲルトラップを11月に1度のみ行うことが出来た。セジメントトラップのカップの半数にゲルを入れたガラス容器を入れ、セジメントトラップとゲルトラップの両方の試料を得ることとした。大槌湾中央部で10mおよび20mの深度に設置した。ゲルトラップで得られた試料から、単体で沈降しているMPsと共凝集したものに付着しているMPsの2つのタイプが観察された。20mで採取されたゲルトラップ中のMPsは10mで採取されたものよりMPs単体で観察されたものが多い傾向にあった。これは、一度堆積したものが何等かの理由によって再度巻き上がったものがトラップに捕集されたと考えられた。
岩手県大槌湾でおよそ100Lの海水を一度に短時間で濾過するシステムを構築した。このシステムを使用し、夏季に行われた白鳳丸航海(KH20-9)で航行する船上で100Lの海水を連続的に濾過することが可能になった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナの影響で当初行う予定であった調査がほとんど出来なかった。また、夏季まで所内に入構できなかったため実験も行うことができず、予定が大幅に遅れてしまった。

今後の研究の推進方策

これまで行ってきた岩手県大槌湾のサンプリング地点はニューストンネットを40分曳網してもマイクロプラスチック(MPs)はほとんど採取されないため、場所を岸よりに変更する。変更地点で、ゲルトラップとセジメントトラップを3季節(春の調査は遂行された)に1-2日間設置する。水深が浅いため、設置深度は10mを予定している。トラップ設置時に100L程度の海水の濾過、ニューストンネットによるMPsの採取を行う。また、スミスマッキンタイヤー式採泥器を用いて海底堆積物を採取し、沈降したMPsのポリマーの検出、サイズに注目して引き続き分析を行う。添加回収実験および再現性実験では65μmのサイズまでしか行っていないため、38-45μmおよび10-27μmのサイズ画分と高密度1.5g/cm3のPEビーズを使い検討する。
生物からのMPsの検出方法については引き続き酵素を用いた方法を検討し、各動物種において個体毎にどのくらいプラスチックを摂食しているのか明らかにする。また、多酵素を使って体内の有機物を除去できるため、MPsを染色することによって簡単なMPs摂食のスクリーニングができるように検討する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナの影響と悪天候によって予定されていた調査が1度しか行えず、旅費等を消化することが出来なかった。また、実験も予定通りに行うことができず、実験で使用する薬品をはじめとする物品を購入することが出来なかった。
次年度に予定通りに行えると考え、電車およびレンタカー大として旅費の予算を計上する。また、得られた試料を用いて実験に使用する薬品およびガラス器具の補充、フィルター、FTIRに使用する消耗品代として物品費を計上する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 海洋マイクロプラスチックの採取・前処理・定量方法2020

    • 著者名/発表者名
      中嶋亮太 山下麗
    • 雑誌名

      海の研究

      巻: 29(5) ページ: 129-151

    • DOI

      10.5928/kaiyou.29.5_129

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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