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2019 年度 実施状況報告書

河川の浮遊細菌を介した新たなリン循環プロセスとその地球化学的意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K12313
研究機関埼玉県環境科学国際センター

研究代表者

渡邊 圭司  埼玉県環境科学国際センター, 水環境担当, 専門研究員 (50575230)

研究分担者 須田 亙  国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 副チームリーダー (20590847)
石井 裕一  公益財団法人東京都環境公社(東京都環境科学研究所), 環境資源研究科, 研究員(移行) (80551027)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードリン循環 / 浮遊細菌 / 河川
研究実績の概要

荒川の上流域から東京湾の河口・沿岸域にかけて9地点の表層水試料を採取した。この試料について、先行研究で細胞内にリンを蓄積することが確認されているIRD18C08クラスターに属する浮遊細菌(以後、IRD18C08細菌と略す)の現存量を、CARD-FISH法で調べた。その結果、IRD18C08細菌は、平均で120000 cells/mLが河川水中に存在し、全浮遊細菌数のおよそ4.7%に該当することが明らかになった。IRD18C08細菌の数は、河川上流域から河口域にかけて増加し、東京湾沿岸域で減少する傾向が見られた。次に、それらの試料について次世代シーケンサーによる細菌叢解析を行った。その結果、9試料中7試料で解析に十分な数のリードが得られた。リード数の割合は、河川上流域、下流域および河口域ではプロテオバクテリア門、中流域ではバクテロイデス門が高くなっており、また、河口域ではアクチノバクテリア門の割合も高くなる特徴が見られた。次に、河川水中から高頻度で検出され、先行研究で純粋分離株得られているフラボバクテリウム属(新種に該当)の細菌について、次世代シーケンサーによる全ゲノム解析を行った。このフラボバクテリウム属の細菌には、IRD18C08細菌と同様にゲノム上に細胞内のリン蓄積に関与するポリリン酸キナーセ様の配列を有することが明らかとなった。この結果より、河川水中から高頻度に検出されるフラボバクテリウム属の細菌も、細胞内にリンを蓄積する能力を有する可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでのところ、研究計画に沿って順調に研究が進んでいる。また、研究成果も着実に得られている。次世代シーケンサーによる浮遊細菌の全ゲノム解析については、これまで2属5菌株が終了しているのみであるが、ハイスループットの次世代シーケンサーが新たに導入されたため、今後は早急に解析を進める予定ではあるが、現在COVID-19の影響で研究分担者の所属する施設が閉鎖となっているため、今年度後半に解析がずれ込む可能性がある。

今後の研究の推進方策

これまでの研究では、河川の上流域から河口・沿岸域にかけて浮遊細菌の菌叢解析を行った。今後は、これらの中でリンを蓄積する能力を有する細菌を特定し、それの河川水中で現存量、およびそれらが細胞内に蓄積するリンの量を調べることで、河口・沿岸域にどのくらいのリンを運んでいるか、そして河口・沿岸域の生態系にどのような影響を与えているのか明らかにする。CARD-FISH法で河川上流域から河口・沿岸域にかけて現存量解析を行ったIRD18C08細菌は、属レベル以上で新規性が認められているため、新属・新種の細菌として記載登録する手続きを進める。

次年度使用額が生じた理由

当初、先行研究により既に純粋分離株を取得済みの浮遊細菌について、全ゲノム解析を行い細胞内のリン蓄積に関与するポリリン酸キナーセ様の配列の有無を調べる予定であったが、使用する次世代シーケンサーの機器の更新と時期が重なったため、性能が格段に上がった新規購入機器で解析を進めることにした。そのため、これらの分析に使用する予定であった消耗品費が次年度使用額として生じた。

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公開日: 2021-01-27  

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