研究実績の概要 |
2022年3月2日から16日にかけ、北海道でCloud Particle Sensor (CPS)搭載ゾンデ、カメラ、ライダを用いてLarge and Sparse particle Cloud (LSC)の観測を行った。2020年度は初めて野外にライダを設置したが、そのとき起きた問題(レーザの冷却水を適温に保つこと・暴風雪対策)を克服することができた。当該地域には、観測期間中に風雪・強風・大雪警報が各4・2・1回発令されたが、ライダは止まることなく動き続けた。 まだ解析中ではあるが、LSCに近い雲は3月8日に観測できた。肉眼で見た限り星空が広がり、カメラでも星が普通に映っていたにもかかわらず、高度2-4kmにライダでは弱い信号があり、CPSでは1,000-2,000個/m3の雲粒子が測定された。ただし、粒径が5μmほどと小さく、50μm以上をLSCとするしきい値には入らなかった。 いままで知られていた目に見えない雲は、熱帯の高度17kmに存在するsubvisible cirrus cloudと呼ばれる薄い雲だけであった。私はさらに衛星データから目に見えない雲が存在することを示してきたが、実際に地上から雲が本当に判別できないことを経験できたことは(その存在を信じていたとはいえ)驚きであり、次の研究につながる一歩となる。 観測上の問題点としては、LSCが存在するときにCPSを放球したいのだが、下層雲によってライダで上空を見通せないことが多いことである。また、CPS放球の準備中に下層雲が急に覆い始めたこともあった。ライダがなくてもLSC観測できる方法を考える必要があるかもしれない。
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