研究課題
過去の氷期-間氷期変動においては海流やモンスーンの状態によって、日本の植生の温暖化に対する応答が異なっていたことが明らかになってきた。そのため、将来の温暖化による植生影響を予測するためには、植生と大気・海洋システムとの因果関係の把握が必要である。本研究では、海流とモンスーン変動を鋭敏に記録している東シナ海および日本海で採取された海洋コアを用いて、40万年間の花粉分析を実施し、過去5回の氷期-間氷期変動における植生の温暖化応答を解明した。2021年度までに、下記の研究を実施した。1)国際深海科学掘削計画(IODP)Exp.346で採取された40万年間におよぶ東シナ海U1429コアについて、堆積物試料の分析を実施した。U1429コアに含まれる花粉化石含有量は一部の層準をのぞいて非常に少なく、海流やモンスーン変動と花粉運搬過程を含めた検討が必要なことが示唆された。2)植生と海流・モンスーン変動との因果関係を解明するため、鳥取沖で採取されたIODP Exp. 346 U1427コアの花粉分析と日本海変動プロキシデータの比較研究を進め、成果を公表した。3)花粉分析結果と海流やモンスーン変動を記録している古環境プロキシの時系列データについて、近年生態学で提唱された新手法 Convergent Cross Mapping (CCM)を応用した因果解析を行った。4)海底コア中の花粉化石が反映している植生の範囲を推定するための基礎資料として、対比が可能な陸域コアとして琵琶湖表層堆積物の採取と分析を行った。5)花粉化石が反映している定量的な植生量復元のための基礎資料として、寒冷期に優占する亜高山帯針葉樹の森林の花粉生産量の調査を八ヶ岳周辺、北海道において実施し、日本における主要な森林構成樹種の花粉生産量の集成を行った。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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