低濃度トリチウム水曝露による確率的影響の解析実験例については、実験可能な施設が限られていることや、取扱いのノウハウを継承している研究室が非常に少ないことから、データがほとんど無いのが現状である。研究代表者はトリチウム実験ノウハウを有する数少ない研究者のひとりであり、本課題の実施によって、低レベルトリチウムによる遺伝子突然変異の原因が、放射線そのものというよりも自然発生事象の増幅である可能性を示した。本課題の成果は、まだまだ未解明な点が多い低線量率放射線の生体影響について、単なる頻度ではなく質的な観点から区分できる可能性を示し、放射線被ばく影響に関する新たな考え方につながる成果である。
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