研究課題/領域番号 |
19K12326
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
桑原 義和 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (00392225)
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研究分担者 |
栗政 明弘 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (80343276)
佐藤 友昭 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (10284887)
富田 和男 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 講師 (60347094)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | がん細胞 / タイムラプス / 細胞死 / X線 |
研究実績の概要 |
細胞培養系において、X線を照射したがん細胞を1週間程度の長期間をタイムラプスで観察し続けた研究はこれまでにないことから、本研究ではこの点に挑戦した。条件検討の結果、ZEISS Celldiscoverer 7を用いれば最長10日間のタイムラプス解析が実施できることが分かった。 今までに報告された解析では、X線照射後、およそ24時間が経過したころからがん細胞に細胞死が誘発され始めるという事だったが、今回の解析では照射24時間以内に細胞死は観察されなかった。従来から行われているFACS(蛍光標示式細胞分取)解析などでは、細胞をトリプシン処理するなどするため、人の手を加えた時点で一部の細胞が細胞死を起こすのではないかと考えられる。また、細胞死はX線照射後の時間経過とともに、だらだらと生じている印象であった。今後、定量的に細胞死頻度と時間の関係を明らかにしていく予定である。 誘発される細胞死の形式として、形態的な観察からapoptosisに分類されるものとそれ以外に分類されるものがあることが分かった。Erastinで誘発されるFerroptosisもタイムラプス解析したが、その時に生じる死細胞の様式は、X線で誘発される細胞死には見られなかった。 また、核をEGFPで可視化できる細胞を用いてタイムラプス解析を行ったところ、intercellular bridgeがかなりの高頻度で生じていることも明らかになった。X線を照射すると多核細胞が高頻度で生じるが、そのメカニズムも得られたタイムラプスを解析することで、明らかになると期待している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、1週間という長時間のタイムラプスを行い、そのデータの解析を主としているが、東北地方太平洋沖地震の余震とみられる地震が頻発しており、地震が起きると、追跡していた細胞の位置が大幅に移動してしまい、やり直しせざるを得ない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
地震はいつ起こるか分からないため、頻繁にタイムラプス解析を行い、長時間のタイムラプスのデータを何とか得られるようにする。また、これまでに得られた一部のデータに関しては、X線照射後に誘発される細胞死の経時的変化やどのような細胞死が生じているのか等を明らかにしていく予定である。また、放射線抵抗性細胞はX線照射後、本当に細胞死が生じにくいのかを明らかにするため、長時間のタイムラプス解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、県外移動の自粛が生じ、学会に参加しなかったため、旅費を使用しなかった。 次年度の学会開催がどのようになるのかは現時点では不透明である。 次年度使用額は、本研究の最終年度であることから、近年高騰している論文の英文校正・掲載料に充てる予定である。
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