研究課題
X線照射した個々のがん細胞を1週間のタイムラプスを通して、その挙動を明らかにした研究はこれまでにない。昨年度からの条件検討の結果、ZEISS Celldiscoverer 7及びZEISS LSM800(共焦点レーザー顕微鏡)を用いて、恒温培養器内とほぼ同じ条件下で、最長10日間のタイムラプス解析が実施できるようになった。しかし、ZEISS Celldiscoverer 7及びZEISS LSM800では位相差像を取得することができないため、細胞核の形態変化が判別しにくいという問題点があった。細胞核の形態変化はどのような細胞死が生じているのかを判別する上で、とても重要な情報である。この問題点を克服するため、細胞核をEnhanced Green Fluorescent Protein (EGFP)で可視化できる細胞(HeLa-histone H2B EGFP及びU-2 OS-histone H2B EGFP)を用いて解析を進めた。さらに、放射線抵抗性細胞はどのような要因でX線に抵抗性を示すのかを形態学的な視点から明らかにする目的で、HeLa-histone H2B EGFP細胞及びU-2 OS-histone H2B EGFP細胞から、臨床的放射線抵抗性(clinically relevant radioresistant; CRR)細胞の樹立に取り組んだ。CRR細胞は標準的放射線療法である2 Gy/日のX線分割照射に抵抗性を示す細胞である。タイムラプスの結果、X線照射後、24時間以内では親株及びCRR細胞で細胞死の誘発は見られなかった。その後、親株では時間経過と共に、断続的に細胞死が生じたのに対して、CRR細胞では細胞死の誘発はほとんど見られなかった。今後、細胞死頻度と照射後の時間との関係を定量的に明らかにしていくとともに、細胞周期に違いがみられるのかを解析する予定である。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 5件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 7件)
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