研究課題
研究期間内にコロナウィルスのまん延により実験環境が制限されたが、本研究の目標である、放射線治療時の照射線量をリアルタイムに同時多数点で測定可能な線量計の開発を行い、基礎特性を得ることができた。我々が開発した線量計の問題点の1つであったリファレンス線量計との乖離が高エネルギーX線によるチェレンコフ光の影響である事を突き止め、それらの結果をまとめて、Characteristics of a real-time radiation exposure dosimetry system using a synthetic ruby for radiotherapy.,RPTE:6 Dec 2022, に報告した。また、同時多数点測定を目的としたMulti-Pixel Photon Counter(MPPC)モジュールを使用したシステムを組み上げ、当初の目的であった同時多数点測定に関し各種の実験を実施した結果、有意義なデータ取得ができ、開発したシステムの有用性が示唆された。センサーとして使用している人工ルビーの残光特性の問題を解決しようと様々な機関に問い合わせを行ったが、回答が得られず継続的な課題として今後も検討する必要があると考えている。残光特性に関しては、補正はBackgroundデータを適切に処理することで、対応可能となっているが、より測定精度を高めるために医療用(測定器機用)人工ルビーの開発が望まれる。また、光ファイバーの加工において、遮光性の良否が確認され、遮光が悪いと外光がデータとして入力され、測定精度が低下することも解り、今後の対応が必要である事も把握できた。これらを踏まえて、本研究期間内に明らかにする必要があると考えていた事案に対してはほぼ確認することができたと考えているが、同時に今後の課題等が把握でき、更なる発展的な検討の必要があると考えている。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
Radiological Physics and Technology
巻: Volume 16, issue 1 ページ: 69-76
10.1007/s12194-022-00691-1