DNA二重鎖切断は染色体の分断を意味する重篤な損傷であり,細胞にはこれを修復するための機構が複数種類存在する。本研究では,ヒトゲノムの大半を占める反復配列で生じた二重鎖切断を修復するSSA(single-strand annealing)の分子機構に着目した。細胞内でのSSAを検出する実験系と,試験管内でSSAを再現した実験系を用い,ミスマッチ塩基対やRAD52の発現量がSSAの効率に及ぼす影響を解析した。その結果,RAD52が過剰に存在すると正確性の低いSSAが促進されることがわかった。さらに,RPAによって正確性の低いアニーリング反応が抑制されることを明らかにした。
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