研究課題/領域番号 |
19K12333
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
北村 智 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 上席研究員 (80370386)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 突然変異 / 放射線 / フラボノイド |
研究実績の概要 |
本研究では、植物が合成するフラボノイド色素をマーカーとして、放射線による突然変異のランダム性について検証するとともに、放射線照射当代(M1)での突然変異の様相を明らかにすることを目的としている。具体的には、シロイヌナズナの種皮のフラボノイド色素については、その生合成に関与する遺伝子群が既に同定されているが、変異する遺伝子によって各変異体の種皮の色が異なることが知られている。そこで、複数のフラボノイド色素遺伝子をヘテロ状態にしたシロイヌナズナを作製して変異誘発処理すれば、ヘテロ座の野生型アリルが変異した場合にのみ色素合成が阻害されたセクター組織がM1植物中で形成され、そのセクター組織から種子形成されれば、種皮の色に基づいて変異した遺伝子をモニターできると考えた。今年度は、TT4とTT8という2つの遺伝子をヘテロ化した状態での変異検出を試みた。二重ヘテロ植物へ炭素イオンビームを照射し、照射植物を育成して開花・種子形成させたところ、TT4あるいはTT8遺伝子に変異が生じていないことを示す親株同様の種子に混じって、tt4変異を示す薄黄色の種子と、tt8変異を示す薄茶色の種子が検出され、M1世代での2遺伝子における変異頻度を表現型から評価可能であることを実証できた。さらに、いくつかの変異種皮からDNAを抽出して解析したところ、いずれの場合においても、種皮の色から推察された遺伝子に変異が生じていることも確認でき、表現型に基づいた本実験系の確度をサポートする証拠を得ることもできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍によりリモートワークの頻度が高まり、実験や観察などの現場作業の頻度が低下することにより、全体的な研究推進効率が低下したため。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍が落ち着いてきて、従来通りの研究体制及び研究推進効率に戻りつつあるので、計画通り、色調変化を示した種皮DNAを用いた更なる突然変異解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
リモートワーク増大のために実施できなかった実験や観察などの現場作業を、今年度に実施する予定。
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