被ばくによる晩発影響では発がんが重要であり、放射線の線質ごとに発がんリスク評価を行う必要がある。我々は放射線発がんモデルのPtch1遺伝子ヘテロ欠損マウスを用いガンマ線、速中性子線、炭素線誘発がんの特徴を調べた。肝、肺、脾、皮膚、筋などの臓器に腫瘍の発症を認め、特に肝、脾、皮膚、筋は放射線により増加傾向を示したが、線質には依存していないことを明らかにした。皮膚腫瘍について病理診断をした結果、基底細胞がんであった。炭素線と速中性子線では斑状強皮/硬化型と微小結節型の傾向が高く、線質によっては予後の悪い組織型を発症することが示唆された。しかし分子学的解析からは放射線特異的な特徴は観察されなかった。
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