研究課題
ホルミル基を検出する新たな蛍光物質として、BODIPY-ヒドロキシアミン誘導体の合成を試みた。既報を参考に、BOC保護を行ったCarboxymethylhydroxylamineと、8-Phenyl-BODIPYカルボン酸誘導体とのカップリング反応に関しては、DCCを用いた常法により効率よく反応が進むことが明らかとなった。その後のBOCの脱保護により、目的とする化合物が得られるが、脱保護剤の作用によりBODIPY環内のN-B結合が切断されることが明らかとなった。脱保護剤としていいくつかを検討を行った。アセトニトリル中で、TMSIを用いる反応では、0℃で反応が進行するが、副反応を制御することができなかった。また、塩酸ーメタノールの系では、室温で24時間程度で、化合物の蛍光性が失われることを見出した。30%トリフルオロ酢酸ージクロロメタンを用いる系では、わずかながら化合物を得ることができるが収率は極めて低い。このことから、蛍光物質としてBODIPYを用いることが、必ずしも目的化合物を得る上で、最適ではないと考えられた。そこで、蛍光性物質をフルオレセインなどの比較的安定性の高い化合物へ変更することを今後、試みる。少量得られたBODIPY誘導体はformyl-dCとの反応は遅いが、p-anisidineを添加することで、容易にラベル化されることがわかった。そのため、他のアミン存在下における、反応性の違いなどを明らかとし、反応条件を最適化する必要がある。また文献によれば、いくつかのアミノ基を有する化合物でもアルデヒド基と反応することが示されているが、本研究における化合物では反応性が確認されなかった。
3: やや遅れている
アルデヒドを検出する蛍光プローブとしてBODIPY誘導体を設定し、その効率的な合成を試みたが、目的とする化合物を効率よく合成できる方法論の開発がまだ途上である。酸性下におけるBODIPY環が不安定なため、保護基の選択や、または蛍光物質として他の蛍光物質を用いる必要性があるなどの諸問題が明らかとなってきた。目的化合物の調整が送れているため、その後の条件検討などが十分に行えておらず、今後、スピードを上げて、調整していく予定である。
今後、蛍光物質の再選択を行うことと、反応の際の保護基をいくつか試みることをおこない、目的化合物またはそれに代替する化合物の調製を行う予定である。アミノ基やヒドロキシアミノ基などとアルデヒド基が反応することがすでに示されているが、その反応条件については、個々にバラバラであるので、いくつかの反応条件を試み、最適な反応条件を求め、いくつかの標準物質との反応性について検討していく予定である。また市販の検出プローブとの比較を行い、それぞれの試薬の長所、短所を明確にしていきたい
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