有機ヒ素化合物ジフェニルアルシン酸(DPAA)による神経症状発症機序の解明とその治療法の提案を目指した。DPAAはラット小脳由来アストロサイトにおいてMAPキナーゼの活性化をはじめとする異常活性化を引き起こす。本研究により、DPAAによる異常活性化にカルパインやNF-κBなどの活性化が関与していること、ヒト小脳由来アストロサイトにおいても同様の異常活性化が生じること、DPAAによる異常活性化を抑制するにはいわゆる抗酸化物質よりもチオール基を含有する化合物(N-アセチルシステイン等)が有効であるが、異常活性化抑制効果があるからといって回復促進効果があるとは限らない、などの知見が得られた。
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