研究課題/領域番号 |
19K12354
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
有吉 健太郎 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50462750)
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研究分担者 |
中野 学 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (10436016)
三浦 富智 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (20261456)
葛西 宏介 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (50400148)
田副 博文 弘前大学, 被ばく医療総合研究所, 助教 (60447381)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 環境放射線 / 幹細胞影響 / 野生動物 / プラナリア |
研究実績の概要 |
本研究では、体内に豊富な幹細胞を持つ淡水生プラナリアに着目し、放射線汚染地域の河川に生息しているプラナリアの放射線影響、放射性物質の体内への蓄積の有無やDNA損傷の頻度、再生能力等を調べることを目的とした。まず、プラナリア(ナミウズムシ)を対照地域である青森県において1カ所、福島県の汚染地域において2カ所の生息域から採取を行うことができた。また、サンプリング地である対照地域の青森、および汚染地域における空間線量の測定、採取した河川水中、およびプラナリアのエサとされる川虫に蓄積された放射性物質の量を測定し、プラナリアの生息環境の放射性物質を定量化した。対照地域と比較して、汚染地域の河川水と川虫において高い濃度の放射性物質の存在が明らかとなり、特に川虫は環境中の放射性物が濃縮されていることが明らかとなった。さらに、青森県の個体、および福島県の汚染地域で捕獲した個体を頭部と尾部に切断し、再生の速度を調べた。その結果、頭部の再生能力に差は見られなかったが、尾部の再生において、青森県の個体と比較して、汚染地域の個体が有意に再生が遅いという結果を得た。今後、プラナリア個体内部の放射性物質の蓄積の定量化と、DNA損傷の定量化を行い、また幹細胞数の比較を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年に研究代表者の異動により、実験を実施できない期間があったが、サンプリング候補地の絞り込み(青森県1カ所、福島汚染地域2カ所)と、河川水や川虫等の放射性物質の測定を終了した。また、汚染地域の個体の再生能力の低下を示すデータを得ている。こうした結果から、概ね順調に計画を遂行していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
汚染地域のプラナリア個体尾部において、再生能力の低下が見られたことから、個体内に放射性物質の蓄積、およびDNA損傷の蓄積が予想される。そのため、イメージングプレートを用いてプラナリア個体中の放射性物質の定量化を行うと共に、DNAの酸化損傷である8-oxo-dGの定量化を行うことを予定している。また、プラナリア個体中の幹細胞を定量化し、対照地域と汚染地域で幹細胞数に差が存在しているか否かを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初国際学会の旅費の歳出およびGPS受信機の購入を予定していたが、他の予算から捻出したため、次年度使用額が生じた。また、この予算を用いて予定していた遺伝子発現解析装置よりも高額なハイスペックの遺伝子発現解析装置を購入する予定である。
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