研究課題/領域番号 |
19K12361
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
Tin・Tin Win・Shwe 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康研究センター, 主任研究員 (00391128)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 大気汚染物質 / 自閉症 / 神経免疫バイオマーカー / ラット / 社会行動 |
研究実績の概要 |
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、社会的コミュニケーションの障害、社会的相互作用の低下、および反復行動を特徴とする神経発達障害である。ディーゼル排気(DE)由来の二次有機エアロゾル(DE-SOA)に周産期に曝露されたラットにおける自閉症のような行動と関連する遺伝子発現を調べることを目的とした。 Sprague Dawley妊娠ラットを、妊娠14日から生後21日まで、曝露チャンバー内で清浄空気(対照)、DE、およびDE-SOAに曝露した。生後10-13週にASD関連社会行動について3室の社会行動テスト、社会的優位チューブテスト、およびガラス玉覆い隠しテストを行った。行動試験後に前頭前野を収集し、RT-PCRおよびELISA法で神経学的および免疫学的マーカーとグルタミン酸濃度を調べた。DE-SOAに曝露されたオスとメスのラットは、社会性と社会的新規性の好みが低く、社会的に優勢な行動を示し、反復行動の増加が認められた。DE-SOAに曝露された雌雄ラットの前頭前野におけるセロトニン受容体(5-HT(5B))と神経栄養因子(BDNF)のmRNAはダウンレギュレートされたが、インターロイキン1β(IL-β)とヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)のmRNAはアップレギュレートされた。 DE-SOAに曝露された雌雄ラットにおけるグルタミン酸濃度は有意に増加した。この結果は、DE-SOAへの周産期の曝露が、ラットの神経学的および免疫学的マーカーなどを介し自閉症様な行動を誘発する可能性があることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実験結果の一部を二つの日本の学会と一つの国際学会に発表した。さらに今までまとめた結果を国際雑誌に論文発表した。
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今後の研究の推進方策 |
環境汚染物質曝露による神経毒性評価を行うため、ラットの脳発達期(妊娠14日目~出生後21日目まで)にDE 及びSOAの全身曝露を行う。生後10-13週に不安関連行動をopen field(オープンフィールド)テスト、明暗探索試験、Social interaction 試験、高架式十字迷路試験、新規性誘発性食欲減退試験などで調べる。行動を調べた後、ペントバルビタールナトリウムによる安楽死後に脳を採取し、不安行動と関連する遺伝子発現をreal-time RT-PCRおよびELISA方法で検討する。さらに摘出した脳を用いて、神経免疫応答について免疫組織学的法で検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内に発注できないのかあるのでコ年度使う予定である。
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