研究課題/領域番号 |
19K12362
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
山川 茜 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 主任研究員 (00720286)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 水銀同位体 / ガス状原子状水銀 / MC-ICP-MS / 水銀 |
研究実績の概要 |
・マウナロア観測所(MLO)でのガス状原子状水銀(GEM)捕集および水銀同位体分析 本研究では、大気中水銀の沈着プロセスを理解するために、マウナロア観測所(MLO)の化学形態別水銀の季節変動を観測するとともに、マルチコレクター誘導結合プラズマ質量分析計(MC-ICP-MS)を用いたガス状原子状水銀(GEM)の精密水銀同位体分析を実施することを目標としている。MLOは自由対流圏に位置することから局所的な大気変動の影響を受けにくく、水銀の大気化学反応についての天然の実験室である。本研究では、申請者が「大気中水銀同位体分析による発生源近傍および広域的な水銀拡散の実態把握」(科学研究費助成事業・若手研究B、補助事業期間:H28~H30年度、課題番号:16K16187)で開発したGEMの自動捕集装置を用い、ガス状酸化態水銀(GOM)の上昇が見られる夏季(6~8月中の約1ヶ月)に捕集を行い、その比較として、全球的なGEMのバックグラウンドの水銀同位体比を得るために、冬季(11~1月中の約1ヶ月)にも捕集を行うこととした。今年度は以下について実施した。 1. サンプリング装置の改良:昼間・夜間にGEMのサンプリングを実施するため、装置を改良した。 2. サンプリングの実施:2022年夏季はNOAAからの訪問許可が延滞しMLOに訪問できなかったため、現地スタッフによるサンプリングを実施した。冬季については、2022年12月のマウナロア火山の噴火により、MLOへの道が溶岩によって遮断、電線が断線されたため、MLOの利用が不可能となった。 3. 水銀同位体分析の実施:夏季のGEM試料についてMC-ICP-MSを用いて水銀同位体分析を実施した結果、両季節において高度に浮遊するGEMおよび海洋に起因するGEMの混合であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年夏季は、NOAAからの訪問許可が延滞したため予定通り訪問できず、旧機器を用いて現地スタッフによるサンプリングを実施した。また、12月のマウナロア火山の噴火により、MLOへの道が溶岩によって遮断、電線が断線されたため、MLOの利用が不可能となり、冬季のサンプリングが実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
MLOへの道路及び電力が復旧した場合は、改良装置を用いたサンプリングを実施する。研究実施期間内にMLOが復旧しない場合は、これまでのデータ及びMLOの化学形態別大気中水銀濃度および大気成分や気象条件等と考察する。 また、得られた成果のまとめとして、学会発表を行い(アメリカ地球物理連合を検討中)、最終年度の最後の4ヶ月間は成果発表期間と位置付け、論文の執筆を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)使用額が生じた理由としては、旅程の変更による(MLOへの訪問許可の延滞及びマウナロア火山の噴火によるMLO使用停止)。 (使用計画)この金額は、次年度の旅費および消耗品の購入、学会参加、英文校閲に使用することを計画している。
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