研究課題
基盤研究(C)
海洋表皮層の輸送系を組み込んだ新たな数値モデルを開発し、長江河川から流出する様々なサイズの海洋プラスチックの輸送過程を調べた。その結果、プラスチックの挙動は、そのサイズによって大きく異なることが分かった。小さなプラスチックは、従来の海流系に従って、長江河川の北東域に位置する日本周辺の海域へ輸送されるが、大きなプラスチックは、風や波の影響を受けて東シナ海や中国沿岸域に留まりやすくなることが明らかとなった。
海洋物理
様々なサイズのプラスチックの輸送過程を通して、これまで着目されてこなかった表皮層の輸送系が、従来の海洋物理学に基づいた海流系と大きく異なっていたことを明らかにした点は、学術的に価値が高いと言える。また、この研究では、海洋表皮層を漂う物体としてプラスチックを対象としているが、流れ藻を含むニューストンであっても取り扱いはかわらないと考えられる。したがって、従前の海流情報では説明がつかない新たな海洋生物の輸送系解明にも波及すると期待されるため、社会的にも大きな意義があると考えられる。