研究課題
マイクロプラスチック(MP)による環境汚染に注目が集まっている。これまで、MP汚染に関する調査は海水や河川水等を中心に行われてきたが、地下水を対象にした例は少ない。このため、本研究では地下水と道路塵埃のMP汚染の現状把握を試みた。国内の地下水試料(延べ100試料)を採集分析した。現場で約100 Lの地下水をろ過した100マイクロメートル目開きのナイロン製フィルターを研究室へ持ち帰り、前処理をした後、MP候補検体をFT-IRで材質を同定した。また、地下水採取地点周辺の複数地点から道路塵埃を採集し、地下水試料と同様の前処理およびMPの測定を行った。実験の結果、分析した約4割の地下水試料からMPが検出され、平均濃度は1.1個/100 Lであった。MPの材質はポリエチレン (PE)が最も多く (47%)、次いでポリエチレンテレフタレート (PET)、ポリプロピレン (PP)の順であった。形状は粒子 (31%)と繊維 (27%)が多く、サイズは100~400 マイクロメートルが全体の4割以上を占めた。過去の報告例と比較したところ、オーストラリアの地下水中MP濃度 (2~221個/L)やアメリカの測定値 (7.0個/L)より低値であった。道路塵埃からもMPが検出された。興味深いのは、青色のPE製MPが同地点の道路塵埃と地下水試料検出された点であった。このことは、道路塵埃中のMPが大量の雨水により地表から帯水層へ移行した可能性を示唆している。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
Environmental Monitoring and Contaminants Research
巻: 2 ページ: 112-119
10.5985/emcr.20220008