皮膚は我々の身体の内外環境の境界を成しており、様々な物理的・化学的侵襲から我々の身体を守っている。とりわけ、紫外線による皮膚への刺激を軽減するために多くのヒトが日焼け止め等の化粧品を使用している。日焼け止めには紫外線を無害な熱エネルギーに変換する紫外線吸収剤 (UVSs) が使われており、これは安全であるとして用いられてきたが、近年、その一部が規制されてきている。さらに、UVSsのヒトの皮膚に対する毒性影響は、UVSsを単独で用いたときの刺激性・感作性しか評価されておらず、様々な基材を含む日焼け止めにおける複合的な影響は評価されていないのが現状である。従って、本研究では、UVSsが有するアレルギーの誘発・増悪性を包括的に解明することが急務であると推察し、機器分析学的手法と分子生物学・免疫学的手法を用いてUVSsの単独・複合曝露による皮膚免疫毒性影響を科学的根拠に基づいて立証し、安全性を評価することを目的とする。2019年度は、ジニトロフルオロベンゼン(DNFB)を用いた遅発型モデルを用いて、種々の紫外線吸収剤の影響をスクリーニングした。その結果、一部の紫外線吸収剤がDNFB誘発性の耳介腫脹を増悪することを見出した。 2020年度は即時型モデルを用いて、さらなる解析を行う。
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