皮膚は我々の身体の内外環境の境界を成しており、様々な物理的・化学的侵襲から我々の身体を守っている。とりわけ、紫外線による皮膚への刺激を軽減する ために多くのヒトが日焼け止め等の化粧品を使用している。日焼け止めには紫外線を無害な熱エネルギーに変換する紫外線吸収剤 (UVSs) が使われており、これ は安全であるとして用いられてきたが、近年、その一部が規制されてきている。さらに、UVSsのヒトの皮膚に対する毒性影響は、UVSsを単独で用いたときの刺激 性・感作性しか評価されておらず、様々な基材を含む日焼け止めにおける複合的な影響は評価されていないのが現状である。従って、本研究では、UVSsが有する アレルギーの誘発・増悪性を包括的に解明することが急務であると推察し、機器分析学的手法と分子生物学・免疫学的手法を用いてUVSsの単独・複合曝露による 皮膚免疫毒性影響を科学的根拠に基づいて立証し、安全性を評価することを目的とする。2020年度は、即時型及び遅発型モデルマウスを用いて、種々の紫外線吸 収剤の影響をスクリーニングした。その結果、一部の紫外線吸収剤が耳介腫脹を増悪することを見出した。 2021年度はこの即時型及び遅発型モデルマウスを用 いてさらなる解析を行う。
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