研究課題
微小かつ低濃度のばい煙に対応したダストモニタの性能評価手法を構築することを目的に、評価用のダクト設備について、①【基本性能の確認】、②【高精度気流管理機構の構築】、③【高安定性ダスト試料供給機構の構築】に取り組み、④【ダストモニタ用評価測定部の作成】、⑤【実機を用いた予備試験】を経て、⑥【性能評価手法の確立】を目指す。本年度は、上記③、⑤に取り組んだ。【③高安定性濃度供給機構の構築】低濃度ばい煙での測定を実現するには、濃度安定性(時間的、空間的に変動がない)が最も重要かつ難しい課題である。このため、粉体供給を微量制御できるよう改良し、より安定的に分散・希釈するための最適な条件を抽出した。その結果、流速0~20 m/sの条件下において、測定領域での濃度変動率±12%、濃度分布±10%以内に抑えることができた。⑤【実機を用いた予備試験】代表的な検出方式の実機を用いた予備試験を行った。光散乱方式、光透過方式、静電気検出方式のダストモニタについて、ダクト設備を用いて評価試験を行い、抽出された課題を設備の改良、試験方法改善に反映した。特に、静電気検出方式のダストモニタを対象とする際に起こるダスト帯電に関する課題が明らかになったことから、別途詳細に検討を行った。
2: おおむね順調に進展している
おおむね計画通りに進んでいる。一方で、当初想定していなかったダストの帯電現象が、静電気検出方式のダストモニタの指示値に影響を及ぼすことが分かり、適切に性能評価を行うためには、ダストの帯電状況を把握し、発生機構を明らかにして、測定結果への影響を把握する必要があることが判明した。
今後は、③【高安定性濃度供給機構の構築】の繰り越し分として、研究の過程で判明したダスト帯電を把握・制御する手法について検討を行なう。その上で、⑤【実機を用いた予備試験】において、構築したダクト設備、評価手法を用いて各種ダストモニタの性能評価を試みる。以上の手順で、微小かつ低濃度のばい煙に対応した評価手法の完成を目指す。
(理由)新たな課題として判明したダスト帯電過程の検証に取組み、帯電を把握して測定値を補正する方法について検討する。また根本的解決としては帯電を制御できることが望ましいことから、粉体供給方法の見直しを進める。それに伴い,本格的な粉体供給方法の改良作業は次年度に繰り越す。(使用計画)今年度検討した結果をもとに,粉体供給装置改良関連の消耗品の購入を次年度に行う予定である。
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巻: - ページ: 123-135
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