研究課題/領域番号 |
19K12376
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研究機関 | 神戸市環境保健研究所 |
研究代表者 |
中西 典子 神戸市環境保健研究所, その他部局等, 研究員 (50615490)
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研究分担者 |
野本 竜平 神戸市環境保健研究所, その他部局等, 研究員 (60642238)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | レジオネラ属菌 / 比較ゲノム解析 / アメーバ類 / 増殖能 / 菌種間相互作用 |
研究実績の概要 |
本研究では、アメーバ内のレジオネラ属菌種間の相互作用に着目し、アメーバ内での動態およびゲノムワイドな多株比較解析からレジオネラ属菌種間のゲノム上の可動性遺伝領域の構造及び組換えの実態を明らかにし、さらにオミクス解析によるアメーバ内のレジオネラ属菌の挙動を分子レベルで明らかにする。 今年度は、種々の環境におけるアメーバの実態とレジオネラ属菌種別におけるアメーバ内生存能および増殖能の違いを解析した。6種類のアメーバ類と浴槽水からの分離頻度の高いL. israelensis、L. londiniensis 2群、L. micdadei、L. pneumophila を用いた感染実験により、アメーバ類におけるレジオネラ属菌種間の感染性の違いを見出した。このことから、レジオネラ属菌種によって感染・増殖しやすいアメーバ類が存在することが考えられた。 さらに、冷却塔に定着するL.pneumophilaが保有するプラスミドの遺伝的特徴について解析した。100kbpを超えるプラスミドの存在が見いだされ、接合伝達系など主要な遺伝子群で共通の遺伝子構造が確認された。また、細胞内寄生に重要な役割を果たすと考えられる二成分制御系lrpR/lskSが保存されており、レジオネラの病原性や環境適応にプラスミドが寄与している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レジオネラ属菌種別における種々のアメーバ内生存能および増殖能の違いを明らかにした。冷却塔という環境の定着性に関係すると考えられるプラスミドの存在を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
同一アメーバ内におけるレジオネラ属菌異種間共存機構の解析や多株比較ゲノム解析によるアメーバ内におけるレジオネラ属菌異種間相互作用について検討する。 L. pnemophilaと共に分離されるレジオネラ属菌種に着目し、同一アメーバでの2菌種間における共存実験を行い、経時毎の増殖率および感染効率を調べる。さらに、アメーバ内でのレジオネラ属菌の挙動を把握するためにオミクス解析を実施する。 アメーバ内におけるレジオネラ属菌異種間相互作用について、多株比較ゲノム解析からゲノム上の可動性遺伝領域(MGEs)の構造比較や組換えによるゲノムのモザイク化についても解析し、レジオネラゲノム上の組換えに関するホットスポットを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
比較ゲノムのための予定ゲノム解析対象株を増やし、次世代シーケンサー解析を含めた核酸配列解析用試薬として使用し、引き続き適切に予算を執行していく予定である。
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