研究実績の概要 |
本研究では、アメーバ内のレジオネラ属菌種間の相互作用に着目し、アメーバ内での動態およびゲノムワイドな多株比較解析からレジオネラ属菌種間のゲノム上 の可動性遺伝領域の構造及び組換えの実態を明らかにし、さらにオミクス解析によるアメーバ内のレジオネラ属菌の挙動を分子レベルで明らかにする。 本年度は、レジオネラ症が発生した施設について、施設環境調査でL.pneumophilaSG1,SG2,SG3,SG6,SG10, L.maceachernii,L.londiniensisが分離された。また、宿主アメーバとして、Hartmannella.sppとVermamoeba vermiformisを検出したことから、これらの宿主アメーバに寄生することで施設の消毒を逃れていた可能性が考えられた。さらに、同一患者から分離された株をすべてゲノム解析したところ、SNVは0~41個の範囲で多様性があり、同時に複数の遺伝系統に暴露されたことが示唆された。 2018年、2019年に種々の環境から分離して室温放置していた無栄養寒天培地からAcanthamoeba、Hartmannella、Naegleriaが発育してくることを確認したが、液体培地での増殖には至っていないので、無菌化条件や様々な液体培地を検討する必要がある。また、種々の環境からL. pneumophilaとともに分離されたレジオネラ属菌の代表株である浴槽室由来のL. londiniensis、L. israelensis、L. micdadei、L. cherrii、L. rubrilucens、冷却塔由来のL. rubrilucens、L. anisa、土壌由来のL. longbeachaeについてNanoporeを用いて完全長配列の決定を進めた。 今後、宿主アメーバ標準株および種々の環境から分離したアメーバ内でのレジオネラ属菌の挙動を把握するためにオミクス解析を実施する。
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