(1) 新規鉄系吸着剤の粒径や撹拌による物理的衝撃など、実用に向けての扱いやすさを検討すると共に、ゲルによる包埋加工を施し、蛍光X線分析とSEMによる元素分析及び表面の観察を行った。さらに、作成した吸着剤を用いて固液比1:100のバッチ吸着試験を行った。その結果、適正粒径サイズは100-200μmであった。このサイズの吸着剤1g、1mg/Lの亜ヒ酸溶液100mLの条件において、96時間で97%のヒ素が除去可能であった。SEM観察及びX線測定結果からは包埋加工を施した吸着剤はゲル壁面に付着していることが確認され、ヒ素吸着後の包埋吸着剤は吸着前と比較して、カルシウムと鉄の信号強度が高く検出された。そのため、吸着剤をゲルに内包しても、長時間の撹拌によって壁面から徐々に壊れていると示唆され、吸着までの最適時間は24時間程度であると結論された。また、ヒ素脱着・再吸着試験においては、アルカリ溶液による脱着が効果的であったが、アルギン酸は強アルカリへの耐性が弱く、撹拌の衝撃により壊れる現象がみられた。この現象は、撹拌速度を抑えることで改善されたが、再吸着試験に用いるには鉄塩の再修飾等の手間や、より強固なゲルの開発が必要であると判断できた。 (2) 気体アンモニアの吸着について基礎的な吸着条件の検討を加えた。硫酸銅を担持させた吸着剤を作成し、風乾と100℃加熱乾燥との差違を検討したところ、乾燥条件ごとに捕集量は異なり、加熱で長時間乾燥させた吸着剤ではアンモニア捕集量が減少した。一方、吸着後の吸着剤からアンモニアが脱着することが確認されたことから、乾燥条件の異なる吸着剤からのアンモニアの脱着量を測定した。いずれの乾燥条件の吸着剤からもアンモニアは脱着するが、脱着量と経過時間による変動は大きな差はなく微量であった。さらに、脱着後吸着剤の再利用可能性について検討を行った。
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